防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
スペーサー
自衛隊ニュース   2012年12月15日号
-
1面 3面 4面 5面 8面 9面 10面 11面

新たな国際協力へ第一歩
森本大臣へ出国前挨拶
東ティモールでの能力構築支援事業へ派遣要員

 11月28日、防衛省大臣室で、東ティモールにおける能力構築支援事業の派遣要員3名が森本敏防衛大臣に出国前挨拶を行った。
 能力構築支援事業は、人道支援・災害救援、海賊対処、地雷・不発弾処理などの非伝統的安全保障分野を対象とする。従来の国連PKOや国際緊急援助活動などが問題発生後の「事後対応」であるのに対し、能力構築支援は、「平素から継続的」に、東南アジアなど開発途上国の軍・警察及び関係機関の人材に教育を付与、紛争や災害の対処能力向上を図り、被支援国と周辺地域の安定化に寄与する新発想の取組み。過去のPKOなどで得られた知見に基づき、同種の事業が各国で行われ成果を上げている。
 こうした流れを受け、新防衛大綱に能力構築支援に取組むことが明記され、昨年度、内局防衛政策局国際政策課に能力構築支援室を新設(和栗博室長)。東南アジア各国、太平洋島嶼国、モンゴルで実施された調査研究を踏まえ具体化したニーズに基づき、今年度の東ティモール、カンボジアへの派遣が決定した。東ティモールでは、首都ディリ近郊のメテナロ基地の後方支援部隊に対し、同国の劣悪な道路状況で欠かせない装備品となっている四輪駆動車などをメンテナンスするため、自動車整備士養成教育などを行う。
 今回の派遣要員は、挨拶を行った陸自中央即応集団・小山幹生2陸佐、陸自武器学校・鈴木建太郎3陸佐、能力構築支援室・阿部和美事務官の3名に加え、防衛省が契約した、自衛隊OBで構成される民間団体JDRAC(日本地雷処理・復興支援センター)4名の計7名。派遣期間は12月4日〜来年3月20日を予定。


米国から折木前統幕長へ勲章
大震災後の関係緊密化等で

 前統合幕僚長・折木良一防衛大臣補佐官は11月30日、米国政府から勲章を授与された。
 東日本大震災後のトモダチ・オペレーションおよび、これによってもたらされた自衛隊と米軍との関係緊密化と、将来にわたる震災等不測事態対処能力の基盤強化に対する貢献、並びに日米間パートナーシップの強化などが認められたもの。
 今回、折木前統幕長が受けたのは「勲功章」。これは軍関係者の卓越した功績や業績を表彰するために与える勲章で、米国民および外国人いずれにも授与される。戦闘を伴わない行為や業績に対して外国の軍(および自衛隊)関係者に授けられるものとしては、最高位のもの。
 過去の統幕長については、在任期間中に米国出張の機会を捉えて米国で勲功章を贈られている。折木統幕長についても同様で、統幕長在職中に既に勲功章を授与されている。2回目となる今回は、共にトモダチ・オペレーションにあたった前在日米軍司令官フィールド中将の強い推薦によるものだという。


共済・福利厚生等での功績讃え陸幕長表彰
7コ業務隊に2級賞状授与

 陸自業務隊などの共済・福利厚生業務等に対する「陸上幕僚長表彰式」が12月3日、防衛省で行われた。
 この表彰は平成22年以来行われており、今年度は各業務で優れた功績を収めた7コ業務隊が第2級賞状を授与された。
 式典では、番匠幸一郎陸幕副長、山崎幸二人事部長ら陸幕幹部が陪席する中、君塚栄治陸幕長が受賞した業務隊の隊長一人一人に賞状と記念の楯を手渡した。
 君塚陸幕長は訓示で「隊員が後顧の憂いなく、より厳しくなることが予想される任務に邁進するため、運用を支える機能としての家族支援も含めた福利厚生業務の重要性は増大している」とし、さらに「福利厚生等を取り巻く環境が厳しい中においても、本年度受賞した各部隊が様々な創意工夫を凝らし、部隊・隊員を原点として運用を支える福利厚生業務をさらに推進することを期待する」と述べた。
 受賞業務隊(業務隊長)は以下のとおり。
 ▽上富良野駐屯地業務隊(前田孝雄2陸佐)=自治体との連携等により特定健康診査の受診率を向上▽帯広駐屯地業務隊(松田正行1陸佐)=共済諸手続に係る委任状の受領等の訓練を実施し事態対処能力を向上▽福島駐屯地業務隊(布袋谷浩2陸佐)=大規模災害等発生時の対応も含めた事案発生時の共済業務に係る通報要領を図解して徹底▽古河駐屯地業務隊(谷澤宏典1陸佐)=特定健康診査の受診率及びインフルエンザ予防接種の助成率を向上▽久居駐屯地業務隊(奥村行雄2陸佐)=アクアビクス、エアロビクス及び健康ヨガ教室を年間を通じて開催し、組合員の健康増進に寄与▽福知山駐屯地業務隊(愛甲昭一郎2陸佐)=共済事業の広報実施計画を策定し、組合員・家族に事業内容を周知▽久留米駐屯地業務隊(宮本浩1陸佐)=防衛省生活協同組合への加入促進のため各中隊等に対する巡回説明会を実施


現地活動を円滑化へ
国際緊急援助の多国間協力
陸自主催で「兵站実務者交流」

 陸自主催、第16回「陸軍兵站実務者交流」が11月25日から12月2日まで8日間にわたり防衛省などで行われた。
 テーマは「人道支援・災害救助における兵站協力」。兵站支援体制に関する情報と意見を交換し、多国間で国際緊急援助活動などに活かすことが目的。米国、豪州、インドネシアなど13ヵ国から陸軍種の中佐、大佐14名が参加。自衛隊からは陸幕装備部を主体に統幕、CRF、中央輸送業務隊、幹校、研本、補給統制本部などが参加した。
 第11回(平成19年)から、この会合の成果物として作成を進めているのが「多国間兵站ハンドブック」。人道支援・災害救助における各国の態勢と協力事項について、情報を共有するためのもの。スマトラ沖地震の際、各国のスペックの違いが救援活動の妨げになったことなどを踏まえている。各国の「兵站能力の洗い出し」を行い「できること」、さらに「やってほしいこと」なども記述する。
 今回の会合では、来年度完成予定の一次案の方針を決定するため「人道支援・災害救助における教訓事項」をテーマに各国が発表を行い、続くグループ討議では人道支援・災害救助の受入国と派遣国それぞれの立場で、ハンドブックを実際に使用する視点から記載できる項目の案出をした。
 兵站ハンドブック一次案はA4版150頁程のものになる見通し。


防衛協力・交流さらに促進
第7回「日豪スタッフトークス」開催

 12月3、4の両日、統合幕僚監部で第7回日豪スタッフトークスが行われた。出席者は日本側から統幕防衛計画部長・尾上定正空将補ほか10名、豪州側から国防軍統合作戦司令部幕僚長スティーブ・ギルモア海軍少将ほか8名。主要議題として地域情勢、防衛政策、自衛隊・豪国防軍の活動、日豪防衛協力・交流についての意見交換や南スーダンにおける日豪協力に関する意見交換が行われた。
 「制服同士の幕僚会議が果たす役割は極めて大きい」(尾上将補)。同会議は、自衛隊と豪州国防軍の相互理解と協力を促進することを目的に02年から定期的に実施しており、過去6回は隔年で実施されていたが今回は初めて前回から約10ヵ月の間隔での実施となった。
 07年、日米以外では初の安全保障分野での共同宣言「安全保障協力に関する日豪共同宣言」発表以来、共に米国を同盟国とする両国は着実に安全保障分野での結び付きを強め、現在ではより具体的な協力の段階に移行している。閣僚間の相互訪問、岩崎茂統幕長とハーリー豪国防司令官が今年だけで3度の交流を果たした次官・幕僚長クラスの相互訪問、日豪2国間の共同訓練や日豪を含む多国間訓練ほか実戦部隊間の交流が短期間に繰り返されるなど、各セクション・レベル別の交流頻度は増すばかり。今会議もまた、日米に次ぐレベルを構築する日豪の安保分野での強固な協力関係を内外に示す形ともなった。


組織、装備など改善と方向示す
防衛省が「東日本大震災への対応に関する教訓事項」
最終とりまとめ公表

 防衛省は「東日本大震災への対応に関する教訓事項」の最終取りまとめを11月30日、公表した。
 昨年8月末の中間まとめの「教訓事項」に対する「改善事項と今後の方向性」を加えている。
 大きく4つの分野「(1)組織等の強化(2)装備等の充実(3)米軍等諸外国および関係省庁、関係機関との連携(4)自衛隊の派遣を支える機能の強化」から改善事項と今後の方向性をとりまとめた。
 以下、主なものを挙げる。
〈組織等の強化〉
 ▽人命救助・行方不明者などの捜索のため、後方業務の非常勤職員の導入などによる人員の配置転換で109人を第一線部隊に配置。今後も充足向上を図り検討を継続。
 ▽災派隊員の家族支援などの推進を図り、陸自駐屯地に家族情報などの取りまとめ、連絡・調整等を行う「活動支援専門官」を新設。
 ▽自治体等との部外連絡調整機能を強化するため、概算要求で統幕に「連絡調整課(仮称)」新設を要求。
〈装備等の充実〉
 ▽原発事故への対処で、無人偵察機隊の訓練費、自衛隊施設の放射線防護性能に係る技術的検討業務の費用、野外通信システムの費用を今年度概算要求で計上。
 ▽駐屯地の耐震・津波対策、災害への即応態勢のための施設整備で予算計上。首都直下地震発生時の業務継続のため市ヶ谷代替地の機能について検討。
 ▽放射能汚染地域に遠方投入し作業・情報収集可能なシステムの研究、新たな除染セットの開発に着手。
〈米軍等諸外国、関係省庁、関係機関との連携〉
 ▽日米共同作戦の円滑な実施のため運用企画局に「日米運用調整官」を新設。
〈自衛隊の派遣を支える機能の強化〉
 ▽大規模・特殊災害へ対応するために必要な人的基盤の一角であり体制を整えるためとして「予備自衛官室」を人事教育局に新設。
 ▽メンタルヘルスケア充実のため臨床心理士を増員。今後、惨事ストレスに関する教育を実施。
 ▽原発敷地内外へ派遣した隊員の期間中の「被ばく管理簿」を人事記録と定年時まで管理する処置を実施。
 ▽緊急登庁に伴う児童一時預かり等で保育士派遣など自治体との連携の調整に着手。
 ▽民間輸送力を演習などの際に活用。民間通信事業者と災害時における利用協定を締結。
〈その他〉
 ▽広報について、部外への情報発信でソーシャルメディアを今年7月より運用。英語版広報紙の月刊化。英語版HPの充実など新たに開始。


NEXT →
(ヘルプ)
Copyright (C) 2001-2014 Boueihome Shinbun Inc