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自衛隊ニュース   2012年12月1日号
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「2つの海洋、1つの地域」テーマに討議
岩崎統幕長が「アジア・太平洋諸国参謀総長等会議」に参加

 岩崎茂統合幕僚長は11月5日から8日まで、オーストラリアのシドニーで行われた第15回「アジア・太平洋諸国参謀総長等(CHOD)会議」に参加した。
 今回の会議は豪国防軍および米太平洋軍の共催で、アジア・環太平洋地域などから27ヵ国が参加した。
 全体会議では「2つの海洋、1つの地域」のテーマの下、参加国から多国間枠組みの重要性や、各国軍が非伝統的脅威に対して協力することの意義などについて発言がなされた。また防衛交流においては人的交流が緊張緩和と相互理解に寄与することから、様々な課題の中にあっても交流は継続すべきことなどについて認識を共有した。
 さらに各国代表と2国間会談および多国間会談を実施。とくに日米豪英仏加比泰新の9ヵ国会談においては、アジア・太平洋地域が世界の中心になりつつあることから、同地域諸国の軍事組織が災害などについてより協力関係を強化していくことで意見が一致した。
 また会議に先立ち、岩崎統幕長はクッタバル豪海軍基地を訪れ、日本海軍特殊潜航艇の攻撃により亡くなった豪州および英国軍人を慰霊するクッタバル慰霊碑と、海軍歴史遺産センター内に所在する特殊潜航艇(松尾艇)に献花を行った。
 岩崎統幕長は「2国間あるいは多国間の会談機会を多く得られたことで相互の戦略環境等に関して、より具体的に認識を確認・共有することができ、有意義だった」と述べた。


厳しい現況に全国一丸で対処
「退職自衛官は国家の財産、有効活用へ尽力」
陸幕主催で募集・援護担当者会議

 陸幕募集・援護課主催で平成24年度「募集・援護担当者会議」が11月20、21の両日にわたり防衛省で行われた。
 各方面総監部の募集課長、援護業務課長ら担当者に対し、募集・援護の現況や、現状を踏まえた施策の概要、来年度の業計事項などを説明して、幕僚監部および方面総監部との「一貫性ある業務の推進」を図った。また地本の重要性について、再認識される昨今の情勢を踏まえ「業務の質を維持・強化した上で合理化・効率化する方策等」について意見交換した。
 今年は大量退職期2年目にあたる。再就職への援護業務量は増え、また退職者増に伴う募集人数も多い。景気の状況、少子化・高学歴化の進行など、現在の業務環境について担当者からは一様に厳しい現況が報告された。
 援護業務については、ある担当者は「多様な任務を完遂してきた自衛官を国家の財産として、社会で有効活用できる措置を着実に進めるため、自治体防災職数の拡大を図り、とくに在職間の能力を十分発揮し得る『常勤化』等の方策について検討した。今後も引き続き退職自衛官の有用性についてご理解いただけるよう、各方面総監部と地本を通じて各自治体へ働きかけていく予定」という。
 今回の会議について陸幕募集・援護課は「募集・援護両分野で今後、厳しい現実が継続すると見積もられる中、現場の生の声を聴取することにより陸幕と現場の部隊等とより密接に連携し、引き続き良質隊員の募集と援護希望者に対する100%援護を実現する資を得た」としている。


装備研究所員の発表に多数の聴衆
技本が60周年記念シンポ開催

 防衛省技術研究本部(秋山義孝本部長)は11月13、14日の両日、創立60周年記念シンポジウムをグランドヒル市ヶ谷で開催した。
 陸上、航空、艦艇の各装備研究所員らが防衛技術の研究開発について、また大学や民間企業の研究指導者、幹部らが防衛関連の先端技術について発表を行い、多くの聴衆を集めた。
 初日、秋山本部長が「研究開発の方向性に係る一考察」と題して基調講演、産業技術総合研究所の吉川弘之最高顧問が「科学と社会」と題し特別講演を行った。2日目には「将来技術との融合を目指して-新たな時代を拓く防衛技術の在り方を多面的に考える」をテーマに英国王立防衛安全保障研究所の秋元千明アジア本部長ら4人のパネリストがディスカッション。
 屋内外に設けた展示会場の各ブース内にはミニステージを設置し、動画や写真を用いて技本各研究所、先進技術推進センターと、その研究成果の紹介、展示品の説明を行った。


伝統の「藤山武装障害走」に挑戦
国1採用3年目の事務官が陸自幹候校で多彩な研修

 防衛省の将来を担う国家公務員1種採用3年目の事務官等(女性3名を含む15名)が10月23日、陸自幹部候補生学校(学校長・田浦正人陸将補=前川原)を訪れ、同校の伝統行事である「藤山武装障害走」を体験した。
 研修生は戦闘服、戦闘靴、鉄帽等を着用し、囲壁やロープ渡りなどの各種障害を実際に挑戦し、自衛官の訓練の過酷さを体験した。また高良台演習場で行われた01式軽対戦車誘導弾(LAM)の展示では、実際に手にとって触ったり、射撃姿勢をとったりと興味津津だった。 
 この研修は防衛省に入省して3年目の国1採用事務官等が、将来の陸上自衛隊を担う幹部候補生教育に対する認識と理解を深める目的で行われた。
 研修内容は武装障害走のほか、朝6時からの日朝点呼研修、候補生教育に直接携わる区隊長との懇談や腕立て伏せ・腹筋などの体力検定の体験を行うとともに、候補生教育の現場や史料館の見学など多岐にわたる様々な研修を行った。


「PKO統合任務の課題」で議論
統幕校の国際平和協力センターがシンポジウム

 統合幕僚学校(学校長・石野次男空将)の国際平和協力センター主催で第2回「国際平和と安全シンポジウム」が11月17日、都内で開催された。国連平和維持活動の多機能化とミッションの統合化に焦点をあて、テーマは「統合任務に見る課題」。PKO活動における軍事、政治、人道支援の専門家らが講演や討議を行い、開発も加えた主要4分野からなる統合任務を包括的に行うことが重要とした。
 石野校長の開会あいさつの後、元英陸軍ロバート・ゴードン少将が軍事の視点から、また国連本部政治局・川端清隆政務官が安全保障理事会からみたPKO活動の課題について講演。続くパネルディスカッションには岐阜大学・上野友也准教授と、「難民を助ける会」理事長の立教大学・長有紀枝教授が加わり討議した。
 「とくに政治、人道支援、軍事はプロフェッショナルに行動しなければならない。互いによくわかり合う必要がある」との意見の一方で「統合ミッションの目的は平和を残すこと。そのためには政権の安定した"国づくり"が必要。人道支援とは別。意思決定のプロセスにNGOを入れる正当性はあるのか」などの発言もあり、これを大阪大院・星野俊也教授は総括講演で「政治と人道の相互ジレンマ」とまとめるなど、踏み込んだ内容となった。


創立25周年を盛大に祝う
自衛隊援護協会

 一般財団法人・自衛隊援護協会(理事長・小澤毅)の「創立25周年を祝う会」が11月8日、グランドヒル市ヶ谷で盛大に開催された。
 金澤事務次官や鎌田官房長をはじめ防衛省・自衛隊の関係機関や、西田隊友会会長、関係企業の担当者など約110名が参加した。
 昭和62年に隊友会援護本部の業務を引き継ぎ「自衛隊内のハローワーク」業務を行ってきたことへの感謝の言葉が祝辞の中で述べられ、また現役隊員らも「再就職の心配をせず、心置きなく勤務ができるのは援護協会があるお陰です」などと述べた。
 年々厳しくなっていく退職自衛官の再就職だが、今後も円滑に行われるよう自衛隊援護協会の活躍には、ますますの期待が寄せられている。


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