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自衛隊ニュース   2012年3月1日号
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陸上自衛隊と米海兵隊との実動訓練
アイアン・フィスト
西普連等180隊員が参加
島嶼部防衛対処能力の向上図る

 島嶼部防衛対処能力の向上を目的とした米国における陸上自衛隊と米海兵隊との実動訓練「アイアン・フィスト(鉄拳)」が1月16日から2月23日までの間、米国カリフォルニア州にあるキャンプ・ペンデルトンなどで実施された。
 
 四方を海に囲まれ、多くの島を持つ日本の地理的特性から、一昨年策定の防衛大綱で「島嶼部における対応能力の強化」が挙げられた。アイアン・フィストは九州・沖縄方面の広い範囲の防衛・警備を担当する西部方面隊隷下の西部方面普通科連隊(西普連)等が参加し、効果的な訓練施設を持つ米国で、島嶼部での作戦に必要な戦術・戦闘・米国との相互連携要領を演練した。米海兵隊から知見を得つつ、部隊の島嶼部防衛対処能力の維持向上を図ることが目的だ。
  
 今回で7回目となる同訓練には、西部方面総監・宮下寿広陸将を担任官に西普連(連隊長・黒澤晃1陸佐=相浦)の隊員ら約180名、米側は第1海兵機動展開部隊が参加した。
 島嶼部防衛は迅速な対応が要求されるため、ボートなどで先行上陸した隊員が本隊の安全確保や偵察を行う。
 訓練前半では寒風と高い波が打ち付ける中でのボート操舵や足ヒレを装着して泳いで上陸する水泳斥候、米海軍所属のエアクッション艇(LCAC)2隻を使用したLCAC慣熟訓練、ヘリキャスト訓練など島嶼部防衛でのあらゆる状況を想定した厳しい訓練が続けられた。また、今年度はこれまでと異なり、米国と共同して総合訓練に向けた指揮所訓練を行い、日米の相互運用性の向上を図った。2月上旬から中旬にかけては総合訓練となり、米軍と共同して海上から上陸し、目標地域へ進出した後、防御に移るなどの一連の行動を演練した。


記録的豪雪で災害派遣
道路除雪のほか高齢者支援も
12施設群

 日本列島は今冬、記録的な大雪に見舞われ、各地で過去最高の積雪を記録した。北海道岩見沢市では、42年ぶりに積雪記録を更新する194センチ(1月16日現在)を記録。積雪で生活道路が狭隘となり、市内の交通機関は運休したほか、高齢者の生活や緊急車両の走行に支障が出るなど大きな影響受けた。隣接する三笠市においても累積降雪量が平年の3倍に達し、岩見沢市同様生活に影響を受けた。
 北海道知事から豪雪に伴う災害派遣の要請を受けた第12施設群(群長・野路敬也1陸佐=岩見沢)は、1月から2月にかけて、2度にわたり除雪作業等のため出動した。除雪は夜間も続けられるなど、隊員は懸命な活動に当たった。

2度の除雪支援行う
 1月18日から22日まで岩見沢市及び三笠市で除雪支援を実施した。両市合わせて約7・7kmの道路の除排雪を行ったほか、約50名の隊員が一人暮らしの高齢者住宅20戸で除雪作業を行った。
 大雪は翌月に入ってからも続いた。2月14日には三笠市弥生地区で降雪が継続し、住民が孤立する恐れがあることから、今冬2回目となる災害派遣要請が出された。撤収要請を受けた16日までに延べ200名の隊員が派遣され、使用した車両は延べ90両に上った。


雪害派遣に参加して
第335施設中隊長 1陸尉 手嶋 要二

 私は三笠市の雪害派遣に中隊長として派遣されました。派遣の任務は、緊急性の高い市道の除排雪活動でした。三笠市には2度の雪害派遣であったため、派遣初動から市の職員の方々との調整は順調でした。除排雪活動も2度目となり、器材・ダンプの操縦手と誘導手の連携も練度が向上し、前回以上の進度で活動を実施することができました。
 ただし、各隊員個人に対する明確な任務付与と確認の徹底が不十分な事など、過酷な状況になればなるほど隊員は活動に没頭していくため、各現場における安全措置の重要性を再認識することができました。
 また現地で活動する者は、「市民のために」という気持ちを忘れず、それぞれが今できる最大限の努力をし、拘りをもって活動していました。今回の災害派遣も成し遂げたことにより隊員は個人としての自信を深め、中隊は部隊としての団結をさらに強固にすることができたと思います。
 最後に、今後もいつ何が起こるかわからない危機意識を持ち、部隊の精強化に励んでいきたいと思います。


〈UNDOF〉
伝統と信頼引き継ぎ平和と安定の礎に
輸送隊らゴラン高原へ出国

 2月16日、UNDOF(国連兵力引き離し監視隊)のゴラン高原派遣輸送隊第33次要員及びUNDOF司令部要員(第17次要員)の出国行事が朝霞駐屯地のCRF司令部で行われた。
 出国行事には神風政務官が臨席。司令部庁舎西側広場で政務官に対する栄誉礼・儀仗の後、司令部1Fホールにおいて、神風政務官に、派遣要員を代表してゴラン高原派遣輸送隊長・南條衛3陸佐が出国報告。神風政務官は派遣要員を前に、「自衛隊の任務に対する真摯な姿勢、技術力の高さ等に対し関係国からは高い評価があります。諸君はこれまでの派遣部隊が築いた良き伝統と信頼を確実に引き継ぐとともに、自らの活動が国際社会の平和と安定への礎となっていることを十分自覚をして、誇りをもって任務に邁進してください」などと訓示した。
 南條派遣輸送隊長は報道陣の取材に対し、「必ず任務を達成して全43名を無事日本に連れて帰りたいという気持ちでいっぱいです」と力強くコメント。ゴラン高原で対峙するシリアとイスラエル両国のうち、シリアでは反政府デモなどが発生するなど国内情勢に大きな変化が生じているが、ゴラン高原は比較的安定しているため、現時点では任務に変更はないという。
 UNDOFゴラン高原派遣輸送隊第33次要員及びUNDOF司令部要員(第17次要員)は2月18日に成田空港から第1波が出国した。3月3日に第2波の出国を予定している。
 なお、1月20日の閣議でUNDOFにおける自衛隊部隊等の派遣を今年9月30日まで延長することが決定された。


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