防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2011年6月1日号
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所感文
予備自として災派活動に参加して 予備3陸曹 阿部美奈子
 私は3月23日から29日までの1週間、予備自衛官(技能・英語)として仙台駐屯地に招集され、東日本大震災の災害派遣活動に参加しました。昨年の7月に予備自衛官補で採用され今年の1月末に2回目の教育訓練を終え予備自衛官になったばかりでした。災害招集命令書を受け取ったときは正直不安な気持ちもありましたが、それよりも「予備自衛官制度が導入されて以来初めての災害招集だ」という言葉に後押しされ、私のあとに続く予備自衛官の方々のためにも「予備自衛官は即戦力になり得る」と評価していただけるように精一杯頑張ろうと強く心に思いました。
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Power of Uniform〈迷彩服の威力〉
 活動の初日、アメリカのルース駐日大使と米軍幹部の方々が石巻を慰問された際に同行しました。当初大使や米軍幹部に同行された奥様方の通訳のはずでしたが、急遽私は米太平洋艦隊司令官のウォルシュ海軍大将の通訳をすることになりました。ウォルシュ大将は両方のポケットにチョコレートをたくさん入れていて避難所になっている体育館に入ると小さな子供を見つけては手招きで呼んでそっとチョコレートを渡されました。「give me chocolates」ならぬ「give you
chocolates」です。
 私は自衛隊の迷彩服を着て避難所を回ったのですが、被災者の方々に「ありがとうね〜。頑張ってね〜」と何度もお礼を言われ頭を下げられました。私は心の中で「私は何もしていません。今日ここに来たばかりです」と叫んでいましたが、この感謝と労いの言葉は私個人に向けられた言葉ではなく、震災以来昼夜を分かたず活動している迷彩服の全自衛隊員に向けられた言葉です。これほど日本国民に自衛隊(員)が認知され、感謝されたことは今までなかったのではないでしょうか。迷彩服の威力を感じた瞬間でした。
 ウォルシュ大将と迷彩服を着ていた私との姿も然り。ウォルシュ大将は米軍のトップ、雲の上の上にいるような方、片や私は自衛官とは言え実際は民間人、しかし被災者の方々にはそんな階級や身分の差などわかる筈もなく、米軍と自衛隊の日米合同「トモダチ作戦」に映ったに違いありません。活動初日から迷彩服に身を包んで活動することへの責任と誇りを実感することとなりました。
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Power of Unity〈一体化の威力〉
 今回は未曾有の大災害ということで、自衛隊創設以来初めて陸、海、空がひとつになって活動していると聞いています。米軍も被災地に日用品等の物資の配給や、シャワー設置に行った時に「今回私たち米軍は災害支援活動のために陸、海、空、海兵隊がひとつのチームになって、ここにやって来ました」と挨拶をしていました。
 仙台空港も私が訪れた時は米軍のオペレーションにより機能していましたが、そこには日米、官民みんながひとつになって何とか機能を回復させようという空気がみなぎっていました。
 今回の悲劇をきっかけに「自分中心主義」から「自分には何ができるか」という利他愛の想いで世界が動きだしています。そしてその想いを持った人たちがひとつになって動きだしています。災害直後からこの「一体化の威力」を発揮し続けながら活動されている自衛隊、米軍、そして全ての方々に対して敬意を表するとともに、今後続く長くて厳しい復興への道をみんなで一緒に歩いていかなければならないと思います。「一体化の威力」は奇跡の復興を可能にすると信じています。生涯記憶に残る貴重な一週間でした。

在米学生から激励メッセージ
広田政務官「隊員の心の支えに」

 ワシントンDCに所在する日本人学生で構成される大学間の組織「DC日米学生連合(JASU)」から、東日本大震災の被災地で懸命の活動を続ける自衛隊への激励メッセージが寄贈された。JASUを代表して小玉真知さんと支援者5名が5月23日、防衛省を訪れ、広田一政務官に手渡した。この激励メッセージは、震災の被災者を支援する『DC日米学生連合日本救済プロジェクト』の中で、被災者や自衛隊に「応援する気持ちを伝えたい」との思いから学生たちが日本国旗に寄せ書きをしたもの。受け取った広田政務官は、感謝の言葉とともに「隊員にとって、このような寄せ書きは心の支えになる」と述べた。また、同席した統幕報道官の山岡健男陸将補も「被災者のありがとうという言葉を聞いたり、国民から寄せられたメッセージを見ることで、活動していることの喜びややりがいを感じることができる」として、「JTF司令部にメッセージを飾る」と話した。


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