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自衛隊ニュース   2011年3月15日号
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32期67名巣立つ
防医大卒業式
医官の道へ

 北澤俊美防衛大臣が臨場し、防衛医科大学校儀じょう隊による栄誉礼で卒業式は始まった。3月5日、防衛医科大学校医学科第32期学生67名が医師たる幹部自衛官である医官になるため、卒業と同時に幹部候補生となった日だ。
 早川正道学校長より一人一人に渡された卒業証書。卒業生も緊張した面持ちながら、ビシっとした動作でまるで宝物を受け取るよう。次いで大学評価・学位授与機構長(代理)より学位記を授与され、その後「医師の誓い」を唱和した。
 早川学校長は「卒業生だという事に誇りを持って医官として防衛省・自衛隊のみならず、国民全体のために任務に遂行してほしい」「防衛医学研究を盛り上げて欲しい、中期防衛力整備計画に衛生機能の強化も追加され、卒業生の活躍が益々期待されている」等と式辞を述べた。北澤大臣は「今日を迎えた努力に自信を、支えてくれた人に感謝を」と訓示。最後には若山牧水の詩を贈って、卒業生を激励した。
 卒業式の後、火箱陸幕長(代理)が44名、杉本海幕長が13名、岩崎空幕長が10名を曹長に任命。曹長となった陸・海・空の代表が宣誓を力強く行った。
 「頑張って」と言いながら北澤大臣始め来賓が退場すると、幹部候補生となった卒業生たち一同は親らの方向にくるりと身体の向きを変えた。代表が「おとうさん、おかあさん今までありがとうございました」と先程までとは違う表情と声で感謝の気持ちを述べ始めた。「自衛官だけど、やっぱり家の孫だ!」と泣き出した祖父母もいた。
 その後卒業生は一斉に帽子を投げ上げ、大股で走って体育館を退場。卒業式と任命・宣誓式が終わった。
〈防衛医科大学校後援会設立のお知らせ〉今年4月より、防衛医科大学校後援会が発足します。


防衛省面打ち同好会が設立10周年祝う
 2月24日、防衛省厚生棟地下多目的ホールで防衛省面打ち同好会が設立10周年を記念して展示会を開催した。会場には、昼食時間等を活用して多くの隊員が鑑賞した。
 展示会場には、まず、10周年の沿革が写真を中心として掲示された。直方体の原木から能面などが出来上がるまでの経緯が実物を持って展示されたほか、実演コーナーも設けられ、会員の丁寧な説明もあり、初めての人にも解り易くなっていた。
 作品としては能面の代表作「翁(おきな)」など約40作品が展示され、趣のある幽玄の世界が展開された。
 また、同好会の入門者が初めて打つ神楽面「火男(ひょっとこ)」を20数名の会員が昨年来、手がけたものを展示して、この中から見学者の投票により、優秀作品を選ぶコーナーでは、能の世界がこんな近くもあったと感心しつつ、いろいろ迷いながら投票する人もいた。
 この同好会の生みの親でもある若林衛(OB・現(在)自衛隊援護協会)師匠は「この10年で100名を超える隊員(OBを含む)、部外者が集まり日本の伝統を継承することが出来て大変喜んでいる。また、入会を希望される方が沢山集まれば更に嬉しい」と話していた。

 多国間共同訓練コブラ・ゴールド11が2月7日から18日までの間、タイ王国で実施された。訓練には、日本、米国、タイなど7ヵ国が参加、在外邦人等輸送に関する実動訓練等を自衛隊員と各国軍人らが連携しながら演練した。この訓練に参加した6隊員から所感文が寄せられましたので紹介します。(編集部)

2陸曹 山木 勝広
 今回は、タイ王国でのコブラゴールド11における在外邦人等輸送の訓練へ参加しました。私自身は海外訓練は人生初。言語・文化の違う土地での訓練であり、邦人役の方も初対面の方々、隣接部隊は米・タイ軍であり、他国軍の動きも視野に入れての訓練でした。あわせて、我々の特性として今回の輸送隊の編成は航空・陸上自衛隊の混成部隊、関係機関として外務省と様々な要素・考え方が交錯する国内訓練ではなかなか体験することのできない雰囲気と緊張感があり、その中で我々が日々積み上げてきた国内での訓練がどこまで通用するか等、期待と不安が入り混じった状態の訓練でした。
 訓練開始当初は、その独特な雰囲気に対して意識が向きがちでしたが、冷静に自分に与えられた任務、今何のためにこの場所に存在するのか、同僚隊員の配置等、全体の視点で考えると今成すべきことが明確になり、おのずと周囲の認識ができ、迷うことなく自信を持って任務に当たることができました。
 今回の訓練を通じて、任務に就くにあたり、我々個々の隊員として自分に与えられた任務・地位・役割をよく理解し、どのような事態が生起しようとも、信念を持って対応することが大切だと改めて認識した訓練でした。

2陸曹 小山内洋一
 私は、コブラゴールド11における在外邦人等輸送訓練に参加を命ぜられ、2月9日から14日までの間、タイ王国で訓練を実施してきました。
 私たちが訓練で与えられた任務は、外務大臣からの要請により外国における災害・騒乱その他の緊急事態に際して、生命又は身体の保護を要する邦人等を輸送するというものであり、陸自隊員はその航空機への誘導にあたりました。
 この訓練に参加するにあたり、1月から約1ヶ月間、宇都宮駐屯地において、中央即応連隊から誘導隊として参加する11名で事前訓練を実施しました。その中であらゆる想定を実施し、訓練後の研究会により問題点を出し合い、お互いが納得するまで訓練し、認識の統一を図りました。
 現地では、航空自衛隊の要員との顔合わせ・調整から始まり、現地偵察、予行訓練そして本番の実動訓練を実施しました。突発的な状況等、多様な状況付与がありましたが、皆一丸となり無事任務を達成することができました。これも連隊・中隊の協力、そして在外邦人等輸送訓練に参加した仲間との連携のおかげだと思っております。また、私たちの訓練地域にはタイ軍・米軍がおり、日本を含む3カ国で訓練を実施しました。他国軍の訓練を間近で見ることにより様々なことを吸収できました。
 このコブラゴールドでの訓練の経験を生かして更に練度を向上させ、任務に備えたいと思います。

2陸曹 芳賀  聡
 私は、タイ王国で行われた米・タイ共催のアジア地域最大規模の演習「コブラゴールド11」に、在外邦人等輸送を任務とした誘導隊の一員として参加しました。
 タイ王国の暑さと文化・習慣の違いの中、私自身は英語が苦手でタイ語は挨拶を覚えた程度であり、不安・戸惑いがありましたが、実動訓練をしていく中で、仲間の存在が大きく心強くなり、誘導隊として普段の訓練成果を十分発揮し任務を完遂するとともに、他国軍にアピールできたと感じています。また、外務省職員、他国軍及び航空自衛隊との調整、訓練外での意見交換及び共同連携を通じ、危険見積や責任区分及び考え方の相違点等を知ることができました。
 本訓練に参加して再認識した部隊・家族の力添えに感謝しつつ、貴重な体験を基に、私が得たものを部隊に普及できるよう頑張りたいと思います。

2陸曹 重宗 祐二
 中央即応連隊は航空自衛隊との連携訓練は去年経験済みであるが、やはり何があるか分らない。リスクを列挙し誘導隊としての訓練を年明けから実施していた。
 メンバーは同じ中隊で11名、短いながらもコブラゴールド任務完遂という目標に向かい訓練をしてくると、チームワークも固くなり、カバーし合っていく隊員は充実感に満ちていた。
 訓練が始まって、予定していた天幕(テント)は展張が遅れ、当初、米軍の天幕に間借りした。また、宿営地のレイアウトの変更もあり、予想外の事態が生起することもあったが、無事訓練目的である邦人輸送を成し得た。特に思ったことは、海外での任務では、日本の常識が通用しないし、調整する部署も変われば認識も異なることが解った。
 今回の成果としては、国外に出る前において日本国内での連携の確立を図り国外の不測事態に対処することが大事と知ったことが良い経験になったと思う。
 最後に、今回の訓練に関わった関係部署の方々や支援してくださった統合幕僚監部の皆様、送り出してくれた家族に感謝し、終わりたいと思います。コップンカップ(タイ語でありがとうの意)

3陸曹 樋口 博康
 今回、タイ王国で実施された多国間共同訓練コブラゴールド11における在外邦人等輸送訓練に参加しました。ここで経験したことについて、3点述べたいと思います。
 1点目は、仲間に恵まれたチーム編成だったことです。皆、自分のやるべきことをよく自己分析できていて、誰かが迷ったらしっかりフォローする態勢が自然に出来ていました。2点目は、日本人としてのプレゼンスをしっかり示すことができたことです。他国軍との調整の折り合いがつかず、非常に混沌とした状態の中、目的を見失わず、すべきことを必ずやり遂げるという心構えで、周囲が軽装備な中、重装備でも他国に劣らない動きで、各人がその役割を果たしていました。3点目は、言葉の壁を認識できたことです。海外の任務では当然ながら、英語力は必須なのですが、まだまだしっかりと細部まで調整をするという段階までは現在の自分の語学力では足りないということを再確認しました。
 このような貴重な経験を還元できるよう、日々の訓練に邁進したいと思います。

2陸曹 大谷 尚久
 今回、多国間共同訓練「コブラゴールド11」に参加させて頂きました。我々の任務は在外邦人等輸送であり、その中で陸自誘導隊という地位でした。私は海外での訓練は初めてでした。ですから当初、自分の中でのプレッシャーは相当なものがあり、不安がありました。もし自分が失敗したり状況判断が出来なければそれが日本の自衛隊の実力であると世界に思われるからです。ですが事前訓練を重ねるうちに不安や迷いはなくなり、プレッシャーもほとんどなくなり日本を出発することが出来ました。
 しかし、いざタイに着いてみると、当初の予定通りに事が全く進まず、他国との調整もなかなかできず、自分たちが考えた警備計画を一から見直さなければならない状態になり、また当日にならなければわからないことも多く、大変な状態でした。当日は、予想外の事ばかりが起きました。見直した警備計画も予定通りにはいかず、各隊員の状況判断が必要となりました。しかし各隊員がその場でしっかりと状況判断し、あらゆる事に柔軟に対応することができ、任務を完遂しました。それも日本での訓練の成果だと思います。たとえ計画通りにいかなくて予想外の事が起きても、その時その場所での状況によって判断して行動する、そういった事ができたのも自分たちの訓練が間違っていなかったのだと強く感じました。
 今回、実任務では予定通りに進むことの方が珍しく、諸外国、関係機関との調整に制約もあるが、とても重要であると痛感しました。今訓練では本当に色々と勉強させて頂きました。貴重な体験をさせて頂いた事への感謝の気持ちを忘れずにこれからも訓練を重ねていきたいと思います。


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