防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2010年11月15日号
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アジア大会メダル獲得へ
《体育学校》
北澤大臣が派遣隊員激励
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 11月5日、防衛省において第16回アジア競技大会代表選手及び役員ら派遣隊員が北澤俊美防衛大臣に対し参加報告を行った。これまでのアジア大会以上に活躍が見込まれることもあり、華やいだ雰囲気の中で報告会が行われた。北澤大臣は「君たちは日本国の代表であり、自衛隊、防衛省にとって誇りである。私自身もスポーツは好きですので、一こと言わせて頂きますと、皆さんには大いに闘志を燃やして頂きたいと思います。ですが、同時に試合の中で自分の技、自分の持ち味を十分に発揮できるように、冷静な心構えで試合に臨むことも必要だと思います。また、常に心の何処かに自衛隊の代表であることを忘れないで頑張って下さい」と激励した。
 また火箱陸幕長は選手達に対し「競技に出るからにはメインポールに日の丸を掲げてもらいたい。悔いが残らないようにするためには勝つことだ。勝利することが悔いを残さない一番の方策だ。とにかく君たちには、今回の大会では今まで苦しい訓練を通して積み上げてきたことを腹の底から吐き出してもらいたい。少なくとも陸上自衛隊15万、陸海空全ての自衛隊25万が戦う君たちを応援している。存分に戦ってもらいたい」と訓示した。
 杉本海幕長は今回参加する伊藤広道1海尉ら海上自衛官に対し「日本を代表しているという誇りを胸に、立派な成果を残してもらいたい。勝負は諦めた者が敗けだ。最後まで諦めずに戦って欲しい。特に健康に注意して頑張ってもらいたい」と激励した。

秋篠宮殿下迎え日本代表選手結団式!!
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 11月6日、東京新高輪グランドプリンスホテル飛天の間で第16回アジア競技大会(2010/広州)日本選手結団式が秋篠宮同妃両殿下ご臨席のもと行われた。  今回のアジア大会では42競技476種目、45カ国・地域より1万4千名を超える選手・役員が参加する大会で、「チーム ジャパン」と名付けられた日本代表団は選手726名役員251名アディショナルオフィシャル101名、合計1078名の巨大チーム。これは過去のオリンピック、アジア大会を通じて日本スポーツ史上最大規模となった。
 ご臨席された秋篠宮殿下は「参加する各国の文化や歴史を尊重し多くの人々と友情を結び国際親善に寄与することをお願いしたい」とお言葉を述べられた。
 アジア大会は、まさに、複雑化するアジア情勢の中、まもなく横浜で開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力)と同様に重要な意味があり、この巨大選手団派遣は「アジアにおける平和と共存発展を希求する」日本のメッセージをアジアの人々へ発信する好機であり、「元気な日本」を日本国民に伝える絶好の場面となる。そのため、政府としては文部科学省が選手村以外に今回が初となる支援拠点「マルチサポートハウス」を開設するなど万全の態勢をしく。
 防衛省もこの大会には自衛隊体育学校所属選手18名と役員11名、またアディショナルオフィシャルとして近代五種チーム専属トレーナーを含め合計30名、さらにカヌー競技に出場する東部方面後方支援隊所属安保泰斗2陸曹、さらに8月の世界選手権でロンドン五輪女子ピストル競技出場枠を一足先に獲得した森ゆかり予備2陸曹(埼玉地方協力本部)の32名が参加。また、この結団式には航空自衛隊中央音楽隊(隊長・立山吉博2空佐、指揮・浦川薫1空尉)38名が演奏を行うなど、防衛省・自衛隊も全力を挙げてこの国家プロジェクトを支援している。

創設49周年祝う
アジア大会壮行会も
《体校》
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 10月30日、自衛隊体育学校(校長・渥美晴久陸将補)は創設49周年行事を挙行した。当日は体校関係者、来賓ら約400名が参加。国歌斉唱、渥美校長の式辞に続き、体校の任務遂行に協力した方々への感謝状贈呈、永年勤続者表彰のあと、体校後援会顧問の小池百合子元防衛大臣、神風秀雄衆院議員、山根隆治参院議員が来賓を代表して祝辞を述べ、小池元大臣は「間近に迫ったアジア競技大会は"アウェイ"の戦いが予想されますが、選手の皆様の活躍に期待します」と、激励の言葉を贈った。
 また、記念行事の一環として、11月12日から27日まで中国広州市で開催される第16回アジア競技大会に参加する18名の選手、11名の監督・コーチの壮行会が行われた。合宿・大会への参加による不在者を除く全員が登壇。来賓から励ましの言葉や激励品が贈られた後、レスリング男子グレコローマン監督・伊藤広道1海尉、レスリング世界選手権女子48?級優勝者・坂本日登美2陸尉が出場者を代表して活躍を誓った。
 広州アジア大会はロンドン五輪までの中間年に位置する重要な大会とあって注目度も高い。特に坂本2陸尉、水泳200m個人メドレーアジア記録保持者の高桑健3海尉、水泳自由型リレーに参加する原田蘭丸2海曹らに金メダル獲得の期待がかかる。また、レスリング、ボクシング、近代五種など多くの種目でメダルラッシュの可能性がある。
 なお、この日は式典後の祝賀会場で坂本2陸尉と國原頼子3陸尉(世界柔道選手権銅メダル)の両名が世界選手権成果報告を行った。  アジア大会体校出場選手は次のとおり。
〈レスリング〉▽坂本日登美2陸尉(女子48kg級)▽米満達弘2陸曹(フリー66kg級)▽藤村義2陸曹(グレコ66kg級)▽鶴巻宰3陸尉(グレコ74kg級)▽新庄寛和2陸尉(グレコ120kg級)
〈ボクシング〉▽須佐勝明3陸尉(フライ級)▽川内将嗣3陸尉(ライトウェルター級)▽清水聡2陸曹(バンタム級)
〈ライフル射撃〉▽山下敏和1陸尉▽谷島緑2陸曹
〈ウエイトリフティング〉▽谷綾野2陸曹(W69kg級)
〈水泳〉▽原田蘭丸2海曹(自由形・バタフライ)▽高桑健3海尉(個人メドレー)
〈近代五種〉▽富井慎一3陸曹▽三口智也3陸曹▽野口隼人3陸曹▽藤井真也3陸曹▽昔ひとみ海士長

ロンドン五輪 期待の星
「屈辱」バネに
ウエイトリフティング94kg級 吉岡祐司 3陸尉
(長崎県出身、1984年生まれ)
《体育学校》
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 5月に大阪府羽曳野市で行われたウエイトリフティング全日本選手権で前年85kg級で優勝した吉岡祐司3等陸尉は、階級をあげ94kg級に出場した。五輪を含む国際試合で戦うためには、パワーアップを図らねばならない。85kg級で出るための減量を考えると、これ以上の本格的な筋力増強を行うことは難しかった。吉岡は階級を上げることを決心した。だが、試合では勝負を意識しすぎて得意のスナッチで失敗。屈辱の記録なしに終わる。
 だが、吉岡はめげなかった。吉岡は全日本選手権の後、目標を千葉国体に切り替えた。4ヶ月間、吉岡は余計なことを考えること無くひたすら練習をした。下半身を鍛えるために、ハイクリーンやハイスナッチを行った。これは通常のフォームであれば、ローからクリーンやジャークを行うが、一気に高い位置に持って来る難しいメニューで、試合のためよりも筋力をきたえるためのトレーニングだ。全日本で負けて国際試合の代表に選ばれていない今年だからこそできた練習だ。吉岡は地道にこの練習を繰り返した。その結果、吉岡は1周りも2周りも逞しくなって行った。
 10月5日、千葉国体ウエイトリフティング競技3日目。スナッチ、1回目の試技は153kg。吉岡はこれを楽々と成功。吉岡は思った。スポーツ故に他の選手と競い合うものだが、プラットフォームに立った時は一人だ。他人を意識する必要はない。2回目の試技は日本新記録となる158kg。これも成功させる。吉岡の目線は160kg。全日本で挑戦しようと考えていた重量だ。吉岡は3回目の試技で160kgをコール。この階級では誰も果たせなかったスナッチ160kgの大台への挑戦。国際試合にもつながらない国体で、日本新記録への挑戦を目撃することは珍しい。会場は興奮に覆われた。吉岡が再びプラットフォームに立つと、聴衆の目線が吉岡に集中し一瞬の静寂が訪れる。吉岡の気合いと緊張が頂点に上がった瞬間、160kgのバーベルが高々と上げられる。日本新記録が達成された。あの全日本の屈辱から4ヶ月、吉岡はこの一瞬の時を迎えた。
 吉岡はジャークでも自己新となる187kg、トータルでは国体新記録となる347kgを達成した。階級を上げるという戦略は間違っていなかった。吉岡はオリンピックまでスナッチ170kg、ジャーク200kgを目指そうと考えている。トータル370kgは現在の日本人選手には遠い記録だが、世界で戦うためには必要最低限の数字だ。吉岡は今回の勝利で将来的には絶対可能であると確信した。吉岡のオリンピックへ向けた挑戦は絶え間なく続く。(体校渉外広報室・佐野伸寿3陸佐)

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