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自衛隊ニュース   2010年10月1日号
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女性予備自が初めて中隊長務める
平成22年度予備自中央訓練
東京都・文京区防災訓練に参加
《1師団32連隊》
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 平成22年度予備自衛官中央訓練が8月27日から8月31日までの5日間、第32普通科連隊(連隊長・芝伸彦1陸佐)の担当で朝霞及び市ヶ谷駐屯地、東京都文京区で実施された。
 これは、予備自衛官招集訓練の魅力化と参加予備自衛官の識能向上を目的とし毎年行われているもので、今年も全国各地本の代表として60名の予備自衛官が参加した。
 今回、予備自衛官中央訓練では初めて女性予備自衛官(松岡予備2陸佐=東京地本)がこの訓練間の中隊長になるとともに、10名の女性予備自衛官が参加した。このことは、常備自衛官のみならず予備自衛官の中でも女性の活躍の場が広がってきていることを示している。
 今回の訓練では、8月29日に実施された東京都・文京区合同総合防災訓練の内、都立小石川高等学校・中等教育学校会場と都営地下鉄白山駅会場の2か所の会場で実施された訓練に参加した。
 都立小石川高等学校・中等教育学校会場では、地震の影響による家屋の倒壊等で多数の傷病者が救護を求めているという状況付与のもと、予備自衛官は地元医師会の医師や東京都や文京区の職員等と連携し、トリアージされた負傷者をそれぞれ指示された処置テントに搬送する「担架搬送訓練」に参加した。
 訓練終了後、東京都福祉保健局技監が講評の中で、医療救護訓練への予備自衛官の初参加について言及するなど、訓練参加者や観客に予備自衛官をアピールした。
 都営地下鉄白山駅会場では、負傷者を駅ホームから地上の救護所まで搬送し、応急処置の後、車両搬送の指示をするという流れの訓練を実施した。担架搬送をする予備自衛官、応急医療活動を実施する医師・看護師である公募予備自衛官、そして誘導を担当する都交通局職員が連携し、整斉円滑に訓練を実施した。
 また、訓練終了後、負傷者役の地元高校生及び都交通局職員と意見交換を実施した。高校生からは、「負傷者に不安を与えないように配慮しながら運ばれている事を感じた」「自衛隊を身近に感じた」というコメントがあった。
 防災訓練終了後、予備自衛官は練馬駐屯地に移動し、訓練指揮官である第1師団長・中川義章陸将から訓示を受けた。師団長は、予備自衛官の役割の重要性、活躍への期待を述べ、平素から心身の錬磨、研鑽を要望した。
 翌30日は、市ヶ谷駐屯地で訓練を実施した。
 初めに市ヶ谷記念館を研修したが、ほとんどの予備自衛官が初めてで、東京裁判や三島事件という歴史の現場の重みを感じながら時間を忘れ熱心に見学していた。
 引き続き、陸幕会議室で火箱芳文陸上幕僚長から訓示を受けた。陸上幕僚長は、予備自衛官は「強靱な陸上自衛隊の創造」の中で、陸上自衛隊が継続して実力を発揮するための防衛力の「厚み」を構成する役割を担っていると述べ、「自衛官としての強い任務意識を保持せよ」「お互いの信頼感を醸成せよ」「地域社会の範となれ」の3点を要望した。引き続く永年勤続者表彰では、陸上幕僚長から3名の防衛大臣表彰の伝達、2名の陸上幕僚長表彰が実施された。
 訓練最終日、予備自衛官は中央訓練参加の誇りを胸に、全国から集った仲間との別れを惜しみながら朝霞駐屯地を後にした。

「中学校生活指導員」として教育現場の実状を体験
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 今年3月に航空自衛隊を3尉で定年退職しました。昨年の暮、自治体が発刊している広報新聞に「中学校生活指導員」の募集が掲載されていました。年齢、学歴、資格等の条件がなく、即日に応募し、一次、二次試験を経て4月から教育委員会に採用され、指定された中学校で勤務する事になりました。
 勤務は60分の休憩を含んで、8時30分から15時までの5時間30分になっていましたが、実際は、8時までに出勤し8時10分から校門で朝の声掛けを行っていました。私は、主に3年生を対象の勤務だったので生徒の顔、名前、登校したかの確認の為、校門での声掛けが重要でした。遅刻する生徒がいるのでホームルーム終了まで校門にいて、門を閉め3年生の教室のある2階へ移動します。生徒は各学年5クラスのマンモス校で校舎は4階建てです。廊下から教室を覗き、登校した生徒がいるか確認します。授業が始まると教室にいない生徒のメモが先生又は学級委員より渡され、校舎内を生徒捜しに行きます。見つけると走って逃げるので追いかけますが、捕まえるのに5分ないし10分掛かり、その間階段の昇り降り、グラウンド等、走るには、場所を欠きません。最後に物をいうのが自衛隊で培った持続力です。捕えると素直に教室に戻りますが、一人入ると一人抜け出るの繰り返しで、大人が一緒に遊んでくれるのを楽しんでいるようでした。当方は、足腰が痛くなり、体育服装に腰痛ベルトを巻き、暇をみてエアサロンパスを使ってました。余りにもサロンパスの減りが早いので万歩計で測ったら勤務時間で平均1万4千歩を超えていました。血圧も3ヶ月で20代の血圧になり「ヘソ」から上は、健康体で「ヘソ」から下は、ガタガタになりました。
 走って逃げる生徒は、大した事はありませんが、「この授業が嫌だ」「先生が嫌だ」と言って、抜け出る生徒が一番手こずります。廊下で奇声を上げたり教室のドアや壁を蹴ったりします。「嫌いな先生」が授業を行っている教室に行き、蹴ったり教室に入って奇声を上げたりします。この為、授業は完全に止まってしまいます。これが、ほぼ毎時間繰り返されますが、生徒一人一人と話をすると、どの子もすごく良い子なんですが、二人以上集まると、核融合とでも言うのか、自分を制御出来なくなり騒ぎ出します。騒ぐ生徒を一緒にしない、教室を抜け出た時、「静かに教室で授業を受ける」か「即に早退する」か生徒に選択させます。騒いで平気で先生に暴言、威嚇を行う生徒は早退させます。早退理由を保護者に伝え後日3者面談を行い、場合によっては保護者に来校し監督させる処置を講じています。
 問題あるのは各クラス1、2名で他の生徒は、真面目で一生懸命に頑張っています。恋愛の相談とか、進路の相談、友人家庭内の話とかしてくれます。「加藤先生」と呼ばれ、この年になって初めて「心がくすぐったい」経験をしました。帰宅時、部活の女性生徒が並んで「加藤さん、さよなら」と言われ、年甲斐もなく照れたりもしました。
 夏休み前の最後の登校日に体育館壇上で、3年学年集会、全校集会と話す機会を与えて頂きました。全校集会時に3年生から自然と拍手が起き、耳を疑う程ビックリしました。この学校で勤務出来て良かった、後髪を引かれる思いでした。
 ここまで来れたのは、先輩、同僚、後輩等、皆様のご指導、ご厚情のおかげと感謝しています。ありがとうございました。

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