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   2006年12月1日号
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爆発性危険物(機雷爆弾)を処理
《下関》
第43掃海隊、迅速に対応
 海自下関基地隊(司令・高橋陽一1佐)では10月31日から11月8日にかけて、門司海上保安部からの要請により、山口県下関市吉母漁港から山口県下関市蓋井島への送水管設置事前調査工事の潜水作業中に発見された爆発性危険物らしき物の調査・揚収作業を実施した。
 10月31日には、第43掃海隊の掃海艇「いえしま」(艇長・高橋幸治1尉)が下関市吉母港の湾内9mの海底から、太平洋戦争末期に米軍が航空機により敷設したと思われる長さ210cm、直径57cm、重量約623kgの沈底機雷(MK―25 MOD2)と、直径90cm、重量約238kgの旧日本軍の爆弾(93式改1型)を揚収した。
 11月1日にも、掃海艇「まきしま」(艇長・野間俊英1尉)が、水深37mから、直径47cm、長さ170cm、重量 400kgの米軍の沈底機雷(MK―36)と旧日本軍の爆弾を揚収した。また、11月6日と8日には、掃海艇「まえじま」(艇長・相馬誉介1尉)が水深43mの海底から米軍の爆弾5発を揚収した。
 第43掃海隊の掃海艇は、10月20日から11月8日の間、この海域に8回出動し、米軍機雷3発、米軍爆弾等9発を揚収した。
 この海域では、港湾しゅんせつ工事等が継続中で、今後も爆発性危険物の発見が予想されることから、下関基地隊では、即応態勢を堅持し、国民の生命と海上交通路の安全を守る重要な任務に向け、地道な努力を継続している。

冬告げる
オオハクチョウ飛来
 下北半島の木々が秋色に染まり始めた10月17日の早朝、大湊航空隊正門前の芦崎湾に名物のオオハクチョウが飛来した。例年10月中旬から3月下旬の間、芦崎湾で越冬するオオハクチョウは、昨年よりも10日早いお目見えとなった。
 羽を広げると2mを優に超えるオオハクチョウは、青森県の天然記念物に指定されており、県内で毎年、約3000羽が越冬するといわれている。このうち数百羽が芦崎湾で羽を休める。
 一方、航空隊正門前広場は、退役した3機の航空機が展示されていることもあり、航空ファンから自然愛好家の家族連れまで、四季を通して地域住民の集う憩いの場となっている。第一陣の飛来により、にぎやかな鳴き声や華麗な姿を求めて、多くの市民が訪れることだろう。
 優雅なオオハクチョウの姿を待ちわびていたのは、大湊航空隊の隊員も同様。航空隊のスコードロン・マークに描かれ、いつも身近に感じているオオハクチョウが飛来したことで、仲間が揃ったという気持ち。これから迎える厳しい寒さと降り積もる雪の季節を、ともに過ごす僚友の来訪で、大湊航空隊の本格的な冬支度も急ピッチで進んでいる。あとは冬将軍の到来を待つばかり。北の大地から現れた冬の使者に、出勤する隊員は優しい視線を向けていた。

《論陣》
目立つ“わが子虐待死"の増加
=役所と住民の協力が大切=
 “育児放棄"―育ち盛りの可愛いはずの「わが子」を虐待の末、殺してしまう残虐極まりない事件が、毎日のように報道されている。世の親としては考えられない仕打ちである。「お母ちゃん、お腹が減ったよ。なにか食べたいよ」と泣き叫ぶわが子に「うるさいわね」と、食べ物ひとつ与えず、やせ細っていく幼児を遂には死に至らしめてしまう親とは思えない行為。日本人の美徳といわれてきた“子育ての楽しみ"は、一体、どこへいってしまったのか。
 ひと昔前までは「親の背を見て子は育つ」という言葉があった。だが、いまの親の虐待地獄絵を見ては“背中を見て"どころの話ではない。
 さる10月22日、京都府長岡京市西の京の住宅から「子どもが、ぐったりして動かない」と110番があった。救急隊員が佐々木拓夢ちゃん(3歳)を病院に搬送したが、死亡が確認された。拓夢ちゃんの死因は餓死。体重は普通の3歳児の半分、7kgしかなかった。京都府警は父親の運送業、貴正容疑者(38)と同居の西村知子(28)の2人を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕。2人は虐待死を認めている。
 昨年ごろから“子育てに疲れた。子どもが言うことを聞かない"と、子どもいじめが強まり、なぐったり、けったりの上、押し入れに閉じ込める。布団たたきでなぐって外に追い出すなどが始まった。近所に住む大学生がアルバイトの帰り、今年の春、午前1時ごろ、幼児が自宅の前で泣いていた。聞くと「母親に叩かれ、押し入れに入れられて、もう3日間も食べていない」という。大学生が警察に通報、子どもは保護され、そのときは生命をとりこめた。
 だが、親の虐待はおさまらず、ことしの10月21日夜には、遂に拓夢ちゃんは殺されてしまった。その時の司法解剖によると、拓夢ちゃんは体重7kg。とても3歳の子どもの体には見えなかったという。
 警察が調べたところ、虐待は1年前ぐらいから続いていた。その間、見るに見かねた近所の人が、民生委員を通して、3回も児童相談所に相談したという。そして相談所の職員が、父親に連絡したところ、父親から「親子関係に問題はない」との回答を受けたので「問題ない」と判断して「立ち入り権」があるにもかかわらず“電話"で、ことを済ませていた。結局、住民の善意の通報は活かされず、あたら幼い生命を失ってしまったことになる。
 法務省や警察庁などの情報によると、2004年中に関係当局に“児童虐待"についての通報や相談は「3万件以上ある」という。そしてこのうち58人の児童が“殺されている"。虐待の数は、ここ数年、増え続けている。
 児童虐待を調整する上で、いつも問題になるのは「人権」や「プライバシー」との関連である。情報があって、児童相談所の職員が“立ち入ろう"とすると、家人から“立ち入り拒否"とされて、それ以上、実態がつかめないのが実情である。結局、職員は「親子関係の修復」を推める程度の説得に終ってしまう。
 しかし、児童への虐待を防ぐ方法は「深刻な事態になる前に情報をつかんで、その情報を元に種々の出来事を知った上で、対処する以外に方法はない。
 児童虐待防止法(改正)という名の法律があるが、これとて市町村―児童相談所―警察など公的機関の連携が詳しく述べられているが、こういう法律も大切だが、いちばん重要なのは「お役所」と「地域住民」との関係、連携の強化、それと“血の通った救済方法"と環境を作り出すことであろう。
 最近、あまりに「捨て子」が多いのも目立っている。「出来ちゃったから生んだ。そして捨てた」という無責任な若者が増えている。その対策のひとつとして、熊本県のある病院が“捨て子の受け皿"「赤ちゃんポスト」を設置して話題を呼んでいる。院長は「将来里子に出すまで育てる」と語っている。「いらないから捨ててしまえ」とのモラルの低下には腹が立つが、「捨てても助かる」として“無人の里親"に、わが子を捨て去りにする不心得者が増えないかが心配である。11月13日、秋田県大仙市でも4歳男児が両親に虐待死させられた。

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