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   2006年11月1日号
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斎藤統幕長がロシア軍参謀総長を公式招待
 ロシア連邦軍参謀総長のユーリー・ニコラエヴィッチ・バルエフスキー上級大将が10月17日、齋藤隆統幕長を表敬した。これは、統幕長公式招待に伴う表敬で、この日、バルエフスキー参謀総長は防衛庁A棟玄関前に到着、特別儀仗隊による栄誉礼を受けたあと、齋藤統幕長とともに巡閲した(写真 右)。
 次いで、齋藤統幕長、守屋武昌事務次官、森勉陸、吉川榮治海、吉田正空の各幕長を順次表敬したほか、陸自富士学校も研修した。

ストップ・ザ・情報流出
陸自情報流出防止対策を徹底
 陸上自衛隊は、ファイル共有(交換)ソフトによる情報流出防止対策の一環として、私有パソコンの一掃にあわせ、10月30日から12月5日まで約1ヶ月間を情報流出対策強化期間に設定することにした。
 この強化期間内に、1、情報流出を防止するための各種点検・教育の実施、2、標語、キャラクター(図画)、アイデアの募集を行い、隊員一人ひとりの知識と意識の高揚を図ることが狙い。
 募集した作品のうち優秀作については、各種施策に活用するほか、陸自内部のホームページにも掲載する予定。また、教育資料には情報流出防止のための、CDやハードディスクの破棄要領(図1、図2)等をわかりやすく解説しているものもある。
 問い合わせ先は、陸上幕僚監部防衛部情報通信・研究課情報通信室セキュリティ係(市ヶ谷内線40583)

《論陣》
北の“核"封じ込めを
=制裁は国際協調で実行=
 朝鮮民主々義人民共和国(北朝鮮)に“核武装"を放棄させ、中東、アジアでの“核ドミノ現象"を起こさせまいとする世界各国の意見が、さる10月14日、国連安全保障理事会で遂に「北朝鮮に対する制裁決議」採択という形になった。国連憲章第7章に基づく決議は、国連軍による軍事力行使を前提にしていないものの、経済制裁ではこれまでにない強いものになった。北朝鮮がさる7月4日の長距離弾導ミサイル「テポドン」の実射に対する国連安保理の非難決議を無視して、さる10月9日“地下核実験"を強行したことに対して安保理が全会一致で「北の核封じ込め」を決議したのである。
 制裁の骨子は、まず「核実験実施発表に最も深刻な憂慮を払う」とし、国連憲章第7章41条の下での制裁を決めている。具体的には 1、核兵器や大量破壊兵器計画に寄与し得る物資、ぜいたく品の禁輸 2、同計画支援の個人、団体の海外金融、資産の凍結 3、北朝鮮船舶の貨物検査を含む協調行動 4、6カ国協議への無条件復帰5、必要なら追加措置となっている。日本、米国は船舶に対しては「臨検」の実施を主張したが、中国が「臨検は武力行使につながる」と反対。全会一致を考えている日米側が「協調行動」で妥協し全会一致の決議採択になった。
 これに対して、朴吉淵北朝鮮代表は、「決議は断固拒否する。米国がさらに圧力を加えてくるならば、北朝鮮に対する宣戦布告とみなし、物理的抵抗を続ける(ミサイルと核の再実験を行う)」との意見開陳を行い、理事会の席を去っていった。
 北朝鮮があえて“宣戦布告"と言ってのけたのには訳がある。北朝鮮と韓国、米国(国連軍)との「朝鮮戦争」は、形式的には、まだ終わっていないのである。朝鮮戦争は「朝鮮半島の統一」を名目に、1950年6月25日、突如、北朝鮮の大部隊が韓国との国境線を越えて南下、ソウル-仁川-最後には釜山の線まで攻め込んだ。10月8日、米大統領は国連の議決の下、当初米軍を中核とした国連軍5万人を韓国救援に参戦させ、反撃。中国人民義勇軍(実質人民解放軍)北朝鮮合同軍と攻防戦の末、。38線北側まで押し上げた。韓、国連軍の勝利だった。開戦から3年目の6月のことだった。そして7月27日、休戦協定が成立、調印の運びとなった。この協定で。38線を斜めに交差する軍事境界線(休戦ライン)が設立した。以来、米国と北朝鮮は“戦争"について講和交渉はせず、条約も結んでいない。朝鮮戦争は休戦状態のまま、いまだに続いているのである。それで、今回の制裁決議のあと、安保理関係国や世界の国連加盟国が「北朝鮮が休戦協定を破棄したり、国連を脱退し、核装備、ミサイルの増強を一層進める可能性がある」と心配している一面があるのである。
 北朝鮮が“正面の敵"としているのは「米国」である。米国は北朝鮮にニセドル、麻薬、兵器の輸出などで稼ぎまくられ、その金を“核とミサイル"の開発に使われている。特にマカオの一銀行は北朝鮮の“黒い金"のマネーロンダリング(資金浄化)に使っている・・・としてマカオにある北朝鮮銀行口座を凍結してしまった。裏金が入らなくなった北朝鮮は、なんとしても“凍結を解除"させようと、あえて米国を“敵"呼ばわりして、米朝の2カ国だけの交渉を開かせようとしているのである。しかし、クリントン元大統領時代、北朝鮮との間に“核開発中止"協定を結んだが、重油援助などを含んだこの協定を一方的に北朝鮮に破られた痛い経験がある。ブッシュ大統領が、こんどまた2カ国交渉で“甘い話"を真に受けて「ダマし」にかかっては・・・と、インドとの原子力協定、パキスタンの核容認などもあってこんどは当面、「6者協議」の枠を出ようとしないのである。日本国内では最近“核武装論者"が頭をもたげているが、安倍総理が「日本は非核3原則を国是として堅持していく。核武装はしない」と明言している。それでいいのである。それより、今後起こる可能性がある北朝鮮工作によるテロ、散菌などの卑劣な工作者の暗躍に注意すべきであろう。
 北朝鮮が核実験、ミサイル増強を“生き残るための唯一の手段"と考えているのなら、なんとかして、その考えを改めさせなければならない。そのためには制裁決議の早期実施が先決である。北朝鮮に甘いといわれてきた中国は国境での物資検査を始めるとともに、中朝国境の一部に脱北者対策のフェンスを急設、中国銀行が北朝鮮国境丹東支店への北朝鮮送金を停止するなどの協調にでている。日本は独自で船舶の入港禁止、送金の停止、輸入禁止など強硬な北朝鮮政策を実施している。ただ、この種の制裁は諸国との共同歩調が必要。日本のリーダーシップがいま問われている。
 国連加盟各国の締め付けがあったが、北朝鮮は以前として米国の経済制裁の解除を求めるだけで、その後も暴発寸前の状態にある。

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