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   2006年5月15日号
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F-1 26年間の飛行任務完遂
<築城>
「見敵必殺」記念碑を建立
 3月18日、第8航空団(司令・入澤滋空将補)はF-1型機任務完了記念行事を行った。
 午後12時30分からF-1格納庫で、西空司令官・堀好成空将、築城基地協賛会会長・築上町長=新川久三氏をはじめ歴代団司令、副司令、第6飛行隊OB、築城基地協力団体の長、関連企業など多数の来賓の臨席のもと、任務完了記念式典が挙行された。
 入澤司令は「F-1戦闘機は、昭和56年2月に編成を完結して以来、対領空侵犯措置任務および飛行訓練を継続してきました。この間、954回に及ぶ対領空侵犯措置任務を整斉と遂行したのみならず、運用開始から26年間にわたり、一度の事故もなく、115、000時間超の飛行任務を完遂いたしました。この偉業の達成は、歴代の団司令をはじめ、第8航空団に在籍された方々のご努力と強い意志が成らしめたものと確信しております。また、部内外の関係各位のご支援、ご協力に対し深甚より感謝申し挙げます。今、第8航空団は第304飛行隊F-15により防空態勢を堅持しつつ、第6飛行隊F-2の戦力化、態勢整備に向け団をあげて取り組んでおります。今後とも西日本の防空の要として、より精強な部隊を目指して精進を重ねる所存であります。終わりに、F-1戦技課程中に殉じられた中谷1尉ならびに国防に殉じられた英霊の御霊に対し、謹んでご冥福をお祈り申し上げます」と式辞を述べた。
 引き続き、来賓として西空司令官と基地協賛会会長が祝辞を述べ、なかでも、西空司令官は「昭和55年、F-1が築城基地に配備以来、第6飛行隊として対領空侵犯任務のほか陸海自衛隊との幾多の協同訓練を通じ精強性を追求し西部方面の唯一のF-1・FS部隊として任務を全うして参りました。また、我国初の純国産超音速ジェット戦闘機として、コンパクトな機体と高い信頼性・安定性には定評がありました。まさに、日本の航空防衛力の一翼を担い、約26年間にわたり任務を遂行してきた航空機であります。第8航空団には、これまで培われた輝かしい伝統と誇りを継承し、第6飛行隊のF-2型機による盛況なFS部隊として更に発展させるとともに、FI部隊の304飛行隊と切磋琢磨による多様な任務を完遂するような部隊づくりを熱望します」と述べた。
 式の終盤には西空司令官、団司令、築上町長、村木鴻二氏(第16代団司令)の4名による記念碑の除幕が行われた。記念碑の表には第6飛行隊のスローガンである金色の「見敵必殺」の文字、裏には基地司令の記念碑建立に関する碑文が刻み込まれており、航空機展示場に末永く設置されることとなる。
 午後1時30分、F-1型機任務完了記念式典も滞りなく終了し、式典参加者は降りしきる雨の中、F-1への名残を惜しみながら会場を後にした。

日米親善観桜会開く
米軍、市民ら400人が参加
<岩国>
 第31航空群(司令・植月政則海将補)は4月7日、日米親善観桜会を岩国基地内の米海兵隊ショッピングセンター横で開催した。
 観桜会は例年海上自衛隊と米軍及び一般市民の交流の場として、基地内の桜が開花する時期に開かれており、今年は県議会議員、岩国市長職務執行者、市議会議員と各企業代表者のほか、基地モニターら市民260名、米軍関係者80名、海自隊員合わせて 400人が参加して行われた。
 植月群司令は「花は桜木、人は武士」の言葉を引用し、最近忘れつつある日本の精神文化の武士道と、花見という日本の文化について説明の後、「本日は天気も良く桜の花もちょうど良い頃です。岩国航空基地の隊員が手作りで、この観桜会の準備等をしてきました。時間の許すかぎりお楽しみ下さい」と挨拶。続いて米軍を代表して海兵隊岩国基地司令マイケル・ダイアー大佐が「こうして皆が集い春の訪れを祝い、親交を深めることができて光栄です。日に日に暖かくなり、街は桜模様で美しく彩られ、春は私の最も好きな季節です。今日はたくさんの友達をつくり、絆を深めていきたいと思います」と挨拶し拍手が送られた。その後、植月群司令、ダイアー大佐、来賓による鏡割りで観桜会は始まった。
 ほぼ満開となり、ライトアップされた桜の花は幻想的であり、会場に流れる日本情緒溢れる音楽がより一層花見気分を盛り上げた。会場内にはドリンクコーナーのほか、各隊上曹会が、すし、天ぷら、やきそば、うどん等の模擬店を用意し、温かい料理とともに真心のこもった接待でもてなした。参加者は夜桜を楽しみながら料理に舌鼓を打ち、あちらこちらで、にこやかに歓談する姿が見られ、地域住民との交流を図ることができ、盛会の内に幕を閉じた。

<論陣>
動き出した在日米軍再編
=関係省庁は最大限の努力を=
 日米両政府の間で懸案になっていた「在日米軍再編に関する最終報告」が、さきごろ米ワシントンで開かれていた日米安全保障協議委員会で決定した。あとは日米政府による努力で実行されるだけである。防衛庁、防衛施設庁がこの決定の内容について、どう地元を納得させるかに注目が集まっている。
 最終報告は
(1)沖縄にある普天間飛行場を同県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設する
(2)在沖縄海兵隊を司令部を中心に8千人を削減し、大半をグアムへ移転。移転費(総額102億7千万ドル)のうち60億9千万ドルを日本側が負担する
(3)沖縄県の牧港補給地区、キャンプ瑞慶覧などを全部または一部返還、嘉手納飛行場の戦闘機訓練を国内6カ所に分散移転
(4)キャンプ座間に米陸軍司令部を移転し、陸上自衛隊中央即応集団司令部を併置、横田基地に航空自衛隊総隊司令部を移転する
(5)厚木基地の空母艦載機を岩国基地に移転する
-などが主なものである。
 こう書くと「ことは簡単」と考えがちだが、これを実現させるとなると大変な作業となる。
 まず、沖縄県をはじめ山口県、神奈川県、宮崎県、鹿児島県、北海道など在日米軍の再編にからんだこれらの地方自治体の説得が最初の仕事として大きくのしかかってくる。
 沖縄県は知事が「県として基本的には反対」、キャンプ・シュワブのある名護市は「条件しだいでは一応、この案に納得するが、V字滑走路を沿岸部に併設する場合の角度についてはまだ話し合う必要がある」と微妙な態度だ。岩国基地を地元に抱える山口県も艦載機の増強、移転には騒音問題、事故対策の面で受け入れに消極的である。空中給油機の拠点が移転される新田原(宮崎県)、同型機の訓練が一部移転される鹿屋(鹿児島県)、有事のときの滑走路機能の代替の築城(福岡県)、航空総隊司令部の移転先の横田(東京都)など、それぞれが条件を出したり、反対したり、その態度はさまざまである。
 こうした多様な計画を実現させるために実質的な交渉窓口になるのが防衛施設庁である。もちろん、本庁と連絡しながら実務交渉に当る中核は、各都道府県にある防衛施設局や防衛施設事務所である。
 防衛施設庁、施設局は、これまでも国の安全を守るための“基地の確保"に地道な努力を続けてきた。基地周辺対策などは、一般にはあまり目立たなかったが、一戸一戸、一人一人を訪ねて、地元、個人の要望を聞いて対策を実現してきた。例えば、厚木基地周辺での航空機(爆音)騒音防止のための防音工事などは文字どおりマンツーマンの作業であった。それも「うまくいって当り前」、ちょっとでも“防音約束"が崩れると不平不満が施設担当者の身辺に渦巻いてきた。「基地対策」は、小さな事案解決でも大変な作業なのである。
 一方、こんどの米軍再編計画は、これまでのような「個々を納得させればいい」ものとはスケールが違うのである。
 普天間のヘリ飛行場問題は、地元の返還要求などが出てすでに15年以上の時間がかかっている。「全面返還」とか「一部返還」「飛行停止」などの要求に、那覇施設局は、その都度、本庁と緊密に連絡してきたが、日米安保体制の存在の重圧で「どうにもできなかった」のが実情であった。それが、このたびの「在日米軍の再編の最終報告」では日本、米国両政府の協議で「普天間を2014年までに名護市のキャンプ・シュワブ沖に移転する」ことでやっと実現できそうな形が見えてきた。あとは地元に、この計画をどう納得してもらうかにある。「日米政府が決めたことだから-」という考えや態度で臨んだら話し合いは決裂するのは目に見えている。日米同盟存在意義の説明、地元の振興策、事故対策、雇用関係、自然保護などすべてを動態的に検討しながら、交渉に当たるのは至難の技であろう。しかし、防衛庁、防衛施設庁が、それを“やり遂げなければ"日米同盟にかげりが見えてくる。それほど、こんどの計画は、わが国将来のすべての安全にかかってくるのである。また、予算的にも米軍再編計画にかかる日本側の負担はばく大なものになるはずである。米国防副長官が「再編で日本側負担は3兆円」などと積算根拠もない数字を上げて批判を浴びたが、日本政府も「きっちりと積算基礎に従った負担数字を国民に示し、納得してもらわなければならない」。これまた大変な課題である。

防衛ホーム 俳句コーナー
刈草の萎へたる嵩のまだ匂ふ 中村 かよ
万緑の中に溶け込むごとく居り 岩崎 清子
釣人は女でありし日傘さし 今村 淑子
日暮めく黄沙に灯る時計台 江田 雅子
吸い込まるごと郭公の山に入る 岩崎 悦子
ぼろぼろになるまで金魚掬ひゐし 北川 矩子
遠植田故郷人の皆老いし 鶴間 俊子
公園の銅像凛と風光る 蓮佛志向子
足並のなめらかなりし夕神輿 滝澤 緋沙
風呂を出る合図の鶯笛を吹き 今井 文和
いつの世も淋しさ連れて祭笛 小野 道子
桐の花どこに咲きてもなつかしく 清水 春生
こんなにも小さきものと浮巣見る 林   雪
飛魚の飛びゐる湾の富士大き 安福 箭子
文机になにも置かざること涼し 中野たか江
生きることたのしたのしと七変化 長谷川ハルエ
祭髪結ひし少女の大人びて 堀内ミサ子
草刈のなほ捨て難きやせ砥石 駒野 英明
新緑をまとひ全山胎動す 坂元 順一
戻らんとしては河鹿に鳴かれけり 佐藤隆前子
   選 者 吟
自らを律するごとく大夏木 保坂 伸秋
(「栃の芽」誌提供)
 
「栃の芽」誌をご希望の方は〈栃の芽会連絡先=畠中草史氏 電話042・796・0961〉へご連絡下さい。

〈防衛庁発令〉
自衛隊法第45条第3項の規定により平成18年11月3日まで引き続き任用する
(統合幕僚長)
   陸 将 先崎  一
(5月4日)

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