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   2005年10月15日号
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愛知新政務官が着任
 第3次小泉内閣の発足に伴い、1ポストが空席となっていた防衛庁長官政務官に9月22日付で愛知治郎参院議員(36)=目民、宮城県選出=が就任した。
 愛知新政務官は同26日午前10時すぎ、初登庁。防衛庁A棟前儀仗広場で第302保安中隊による栄誉礼を受け、巡閲したあと、メモリアルゾーンにある慰霊碑に参拝した。次いで、大臣室に向かい、大野功統長官に政務官着任の挨拶をした。引き続き、政務官室で防衛庁・自衛隊の高級幹部多数から挨拶を受けた。
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愛知治郎(あいち・じろう)政務官略歴▽宮城県選出、参議院議員(自由民主党)▽昭和44年6月、宮城県生まれ▽中央大学法学部卒業▽財政金融委員会理事、行政監視委員会委員、北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会委員、憲法調査会幹事、党農林部会副部会長、党水産部会副部会長、党本部青年局長代理、党本部環境関係団体副委員長、党本部運輸交通関係団体副委員長、党国会対策委員会副委員長▽当選1回(参1回)

中方後支隊、地域防災訓練に初参加
 桂駐屯地に所在する中部方面後方支援隊(隊長・岩城征昭1佐)は9月3日、京都府向日市で実施された防災訓練に平成16年3月に部隊が新編されて以来、初めて参加した。
 京都市の隊区担任部隊は福知山駐屯地に所在する3師団隷下の第7普通科連隊であるが、京都市で大規模災害が発生した場合、京都府北部の福知山駐屯地から京都市まで約80qあり、進出するまで早くて3時間程度の時間を要する。それまでの間、「京都市に唯一駐屯する部隊」として日頃から地域との連携を図っておく必要性から今年度初めて参加した。訓練には第7普通科連隊と合同で編成した人命救助隊に第107全般支援大隊(大隊長・藤原宝2佐)から5名が参加し、孤立地域避難状況確認訓練、倒壊建物内人命検索及び救助・救出訓練等を実施した。

自衛隊5部隊が受賞
防災功労者 内閣総理大臣表彰
 平成17年「防災功労者内閣総理大臣表彰」が9月8日、首相官邸で行われた。
 これは、9月1日の「防災の日」に関連して防災体制の整備や災害時の救援活動に功績のあった個人、団体を内閣総理大臣が表彰するもので、今回、台風23号や新潟県中越地震などで救助活動にあたった自衛隊5部隊をはじめ2個人、32団体が受賞した。
 表彰式には、防衛庁側から来賓として守屋武昌事務次官、陸海空各幕僚長をはじめ高級幹部が陪席する中、細田官房長官が首相挨拶を代読、自衛隊の各代表をはじめ受賞者一人ひとりに表彰状を授与した。
 今回受賞した自衛隊5部隊の関係災害別内訳は▽平成16年7月新潟豪雨災害(陸自第12旅団災害派遣部隊・同配属部隊・同支援部隊)▽平成16年台風23号による災害(陸自第3師団災審派遣部隊・同支援部隊、海自舞鶴地方隊災害派遣部隊・同支援部隊▽新潟県中越地震災害(陸自第12旅団災害派遣部隊・同配属部隊・同支援部隊、空自航空支援集団・同支援部隊等、空自中部航空方面災害派遣部隊)で、各災害時に被災者の要望に最大限に応えた功績によって受賞に至った。

研究公開・講演会のお知らせ
<防大>
 第4回防衛大学校理工学研究公開・講演会が10月25日、同校図書館などで開催されます。研究公開(システム工学群)は午前10時から午後5時までの間、図書館コリドール(パネル展示)や理工学4号館・5号館たどで行われます。
 また、講演会は図書館AVホールで、午後1時から3時半にかけて「防災の科学」をテーマに、各教授が次のとおり講演します。▽「最近の集中豪雨」小林文明▽「土石流災害とその対策」香月智▽「災害復旧支援と自衛隊」佐藤紘志▽「スマトラ沖地震・インド洋津波による被害の実態」藤間功司。なお、講演会終了後、落錘式大型衝撃試験装置(重錘を最大28メートルの高さから自由落下させて供試体に衝撃荷重を与える)など、防大特有の装置を用いた実験を展示する予定です。

開校記念祭を開催
 防大「第53回開校記念祭」が11月12日(土)、13日(日)の両日、同校陸上競技場、記念講堂、武道場、各学館などで開催されます。主な企画は、文化祭、体育祭、観閲式、棒倒し競技、訓練展示、特別講演、防大特別展示、親孝行・友情フェア、顕彰碑献花式、研究室公開、大隊行事、花火などで、行事日程等、詳しくは防大ホームページをご覧下さい。

シリーズ イラク派遣を終えて
空自第1航空団(浜松) 基地業務群管理隊
2空曹 中根秀介
 イラク復興支援の話が来たのは、去年の9月半ば頃でした。妻に相談もせず、一発即答で「行きます」と答えた手前、妻にどう説明しようか悩みました。自宅に帰り、それとなく切り出すと「たぶん行くだろうと思ってたし、今でなければ行けないから行ってくれば…」。この時私は怖いものは何もありませんでした。
 第6期イラク復興支援派遣輸送航空隊業務隊警備小隊の先任空曹として灼熱の地クウェートに赴きました。特に不安はありませんでしたが、危機感を持って臨む覚悟でした。
 3月16日、クウェート・ムバラク国際空港に到着し、感じたのは「涼しい!」というか少し肌寒く感じました。バスに乗り疾走すること約1時間半、アリ・アル・サレム空軍基地に無事到着し、基地ゲートを通過しました。クウェート空軍の基地でありながら、ほとんど米軍が警備を行っているようで、銃座に機関銃を装備したハマーをゲート中央に置いて、出入りする者を監視しているところを目の当たりにし、現情勢を実感しました。
 5期隊員の出迎えを受け、改めて悔いのない4力月にしよう、そしてこの地でしか出来ないことを吸収して帰ろうと思いました。先任空曹としての業務は、着隊後1カ月ほどは申し送りや一連の掌握すべき事項等で多忙な毎日でしたが、後段者が着隊する頃にはここでの生活にも慣れました。そして目標の1つであるラクダに乗るという企画も無事クリアー(乗り降りに注意)。
 クウェートは禁酒国であるため飲酒はできませんでしたが、気休めにもならないノン・アルコールビールを毎夜飲みながら、衛星放送のニュースを見て日本を思う毎日が続きました。禁酒国であると同時に、豚肉も食べられない国なので、豚カツ好きの自分としては寂しく思いましたが、食事を提供してくれる日本人シェフの並々ならぬ努力により、食事は別格でした。
 生活環境は隊舎が老朽化していたため、水道管の破裂、シャワーの要修理、電力不足など不具合な面が多かったのですが、そのたびに施設小隊には本当にお世話になりました。洗濯機の故障等もたびたび発生しましたが、補給小隊の尽力には感謝感激でした。
 今思えば、様々な調整、依頼などで司令部以下各小隊に走ったことを懐かしく思うと同時に、本当にお世話になったと感謝しています。当時、自分なりに思い考えて一生懸命やったつもりでも、やはりこうすれば良かったと今になって思うことも多々ありますが、小隊長以下小隊の方々には色々な面でご協力頂き、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 振り返れば、あの頃の懐かしい場面が思い出されますが、この4ヵ月間は自分にとって非常に有意義であり、光栄であるとさえ思いました。帰国の日、6期後段隊員及び7期前段隊員に見送られつつ、帰る嬉しさよりも、この地を離れ仲間と別れるのが辛かったのは皆も同じだったことでしょう。しかし、現在もクウェートで7期派遣隊が頑張っていることを忘れず、彼らが無事に帰国されることを願っております。

<論陣>
拉致解決に国連がバックアップ
目朝交渉・6カ国協議での強腰期待
 北朝鮮の核放棄をめぐる第5回6ヵ国協議、いまのところ11月に開催される見通しである。それに先立って中断していた日朝政府間交渉も行われそうだ。日本にとっては、6カ国協議の前に日本国民が注目している"拉致事件"を片付けるのが先決である。拉致事件が未解決のままでの6カ国協議はありえないという感じ。日本側は「拉致事件が解決しなければ、そのご北朝鮮が軽水炉やその他の諸問題を出してきても、一切、受け付けないし、資金も出さない」ぐらいの強腰交渉をすべきである。たしかに、拉致について、日本は単独交渉であった。6カ国協議の他の関係国、アメリカ、中国、ロシア、韓国は、ほとんど無関心であった。ところが、こんど日本には「国連」という非常に強い味方がバックアップしてくれているのである。国連は、さる9月27日、北朝鮮の人権問題に関する最新の報告書を発表した。報告書には「日本人の拉致問題の状況は深く憂慮される」とした上で「北朝鮮が横田めぐみさんの死亡について、日本で遺骨を鑑定し別人と断定している。本人であるとするなら根拠を示すべきだ」と横田という氏名を明記し、さらにめぐみさん以外の安否不明者についても「あいまい極まる」として拉致責任者を裁判にかけた上で、被害者や家族に「損害賠償すべきだ」とまで言及。「北朝鮮は拉致問題を解決済みとして日本との交渉再開に応じていないが、これは人道的に間違っている」と激しく北朝鮮を批判している。
 これまで日本政府や非政府組織なども、北朝鮮にある程度"圧力"をかけてはきたが、こんどの"国連"からの圧力は、北朝鮮には強いパンチになったようだ。この報告書は単なる発表だけに終るものではなく開会中の第60回国連総会の第3委員会でも正式に審議される。
 第5回の6カ国協議を前にして北朝鮮が「日朝協議を再開してもいい(10月中にも)」と合意してきた意味には"核の全面放棄"を要求する米国と日本の間を「分断」して、少しでも北朝鮮に有利な結論を導き出そうとしているとの見方が強い。
 では、6カ国協議で北朝鮮、米国は、それぞれ、どういう態度をとり、どうなっているのだろうか。
 9月20日に「共同声明」をまとめた第4回6カ国協議の声明と米朝両国の主張を述べてみると「核の放棄の対象」について米国はすべての核兵器と核計画としているのに対し、北朝鮮は核兵器と核兵器計画に限定。共同声明はすべての核兵器と既存の核計画としている。「核の平和利用」では、米国は研究炉で核兵器開発を行った北朝鮮を認めないとし、北朝鮮は主権国家の権利でこれを放棄しないとしている。共同声明は北朝鮮は権利を有すると発言、各国はこの発言を尊重する。「軽水炉建設事業」では、米国は核拡散防止条約(NPT)脱退を表明した北朝鮮に核技術を供与される資格なし、核放棄に応じれば韓国が電力を供給するとしている。北朝鮮は黒鉛減速炉の(核開発)体系を放棄する代わりに6力国の枠組みでの提供を要求。共同声明では"適当な時期"に北朝鮮への提供問題について論議を行うことに合意――となっている。
 共同声明は一応、議長国(仲介国)の中国の面子(めんつ)を立てた桃色的声明になっているが、米朝両国の代表が、それぞれ本国に帰ったとたん"主張"が大きく乱れたものになった。まず、北朝鮭が「軽水炉をまず提供しろ。北朝鮮は米国が軽水炉をくれれば、すぐにNPTに復帰し、国際原子力機関(IAEA)との保障措置協定を締結し履行する。米国が軽水炉を後回しにするなら、既に持っている核抑止力の放棄は一切しない」と主張した。
 対して米国は「まず、北朝鮮が核を放棄し、NPTへ復帰。IAEAの査察を受け入れてのち"軽水炉"建設の話し合いが始まるのだ。NPTに復帰してから"炉"の話を持ち出すべきである。共同声明にも"適当な時期に北朝鮮への軽水炉提供問題について議論を行う"と述べられている。適当な時期とは『核の全面放棄』、NPT復帰後だ」と主張し、両国間のへだたりは縮まりそうにない。そうした諸問題について、日本も解決への努力は怠ってはならないが、それと同時に"拉致事件"解決もあることを忘れてはならない。拉致、核問題ともに日本の腰の強い外交交渉を期待する。

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