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   2005年9月15日号
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防災週間
自衛隊、全国各地で訓練を支援
千葉では8都県市<防災訓練>
新たな統合運用体制で演練
 防衛庁・自衛隊は、8月30日から9月5日までの防災週間に際して大規模震災時などに迅速でしかも効果的な自衛隊の災害派遣ができるよう防衛庁総合防災訓練を実施した。
 9月1日、南関東地域災害時に対応する8都県市合同防災訓練が千葉市蘇我スポーツ公園予定地で行われ、陸自東部方面隊を主力に海空の各部隊も参加、地元住民や消防、警察機関と連携して倒壊建物から被災者の救出、入浴・給水・給食支援要領、道路障害物除去、緊急物質輸送訓練などを実施した。この訓練には、小泉純一郎首相、大野功統防衛庁長官をはじめ政府要人が自衛隊のヘリコプターで会場を訪れ、東部方面隊の防災コーナーや起震車などを実際に体験したあと、総合防災訓練を見守った。また、先崎一統幕議長、陸海空幕僚長をはじめ自衛隊高級幹部が今村功東方総監から状況報告を受け、訓練を視察した。
 一方、8月29日から31日までの3日間にわたって行われた自衛隊独自の部隊集中訓練では、陸自各方面隊の航空部隊が立川駐屯地等に集結、海自輸送艦「おおすみ」搭載のLCACによる輸送、空自C-1での空輸などが初めて実施された。
 平成17年度自衛隊統合防災訓練(指揮所演習)は9月5日、先崎統幕議長を統裁官に人員約500名が参加、市ヶ谷駐屯地などで行われ、南関東地域で大規模な地震が発生した場合を想定し、新たな統合運用体制の下で、防衛庁災害対策本部事務局、各幕僚監部、統合幕僚監部、情報本部間における対応要領や調整、連携要領を演練した。
 このほか、防衛庁・自衛隊は、静岡県焼津市で行われた静岡県・焼津市総合防災訓練(東海地震対処訓練)や全国の地方公共団体が実施した総合防災訓練に対して空輸や隊員の派遣などで支援した。

台風14号で災派
2,600隊員が救援活動
 大型で非常に強い台風14号が9月6日、九州長崎県に上陸、日本海を通過して8日には北海道に再上陸した。この影響で、鹿児島県、宮崎県、大分県、山口県、北海道の各地区では暴風雨による土砂崩れや家屋の倒壊、床上浸水などの被害が続出、死者・行方不明者は約28名にのぼった。
 防衛庁は6日午前4時、台風の接近、上陸に備えて災害連絡室を設置、情報収集態勢を強化した。また、災害派遣要請を受けた陸海空の各部隊は即時に対応、土砂崩れに伴う復旧作業、行方不明者の捜索、給水支援などを行った。鹿児島県垂水市等へは陸自第12普通科連隊(国分)と海自第1航空群(塵屋)、宮崎県高岡町・椎葉村・高千穂町等へは空自第5航空団(新田原)と陸自第43普通科連隊(都城)、大分県竹田市・湯布院町等へは陸自西部方面特科隊(湯布院)、山口県岩国市・美川町等へは海自第31航空群(岩国)、陸自第17普通科連隊(山口)、北海道十勝支庁上士幌町等へは陸自第5旅団(帯広)の各部隊が派遣され、任務を遂行、8日夕までに派遣規模は延べ人員約2,600名、車両約410両、航空機9機に達している。

<論陣>
悲願の国連安保理常任入りに暗雲
中国、韓国が正面切って反対
 日本が熱心に推し進めている「国際連合安全保障理事会」の「常任理事国入り作戦」の前途になにやら黒いベールがかかりそうな気配である。日本、ドイツ、インド、ブラジルなどの国が「いまの常任理事国の枠5カ国を10カ国にしてはどうか」と提案しているのに対して中国、スペイン、カナダ、韓国、パキスタンなどが反対、中でも、中国と韓国という日本の隣国が「日本常任理入りに強硬に反対」しているのである。日本は共同提案4カ国(G4)とともにアフリカ諸国とも手を結び妥協案を作ろうとしたが、これも、うまくいかず、いまのところ「常任理事国枠拡大案」は、行き詰まったままである。友好国アメリカは、表面は一応、「日本の常任理入りには賛成」(ライス米国務長官談)といいながら日本のために積極的に動いてはくれず、他の有力国の出方を見守っている形である。
 テレビや新聞報道では、この「国連安保理」や「常任理」の言葉をよく見かけるが、その歴史と現状を理解していないと、ニュースの字面(じづら)だけを見て、中身を見過ごしてしまうことになる。
 国際連合=国連、UN=は、第2次世界大戦の末期、1945年6月のサンフランシスコ会議で設立され、同年10月の国連憲章で発足。本部はアメリカ・ニューヨークに置かれた。発足当初は、いわゆる日独伊と戦った米、英、仏、ソ連、中国の戦勝連合国≠ェ中心となっていたが、目的が「全世界の発展と安全保障のため」となってきたので、加盟国の数も多くなった。日本は1956年12月に加盟。現在(2003年)では191カ国が加盟している。国連には経済、衛生、農業、教育など多数の下部機関があるが、その機構の中で最も重要なのが「国際平和と安全に関する主要な責任を負う、安全保障についての国連の最高機関」である"安全保障理事会≠ナある。
 この理事会は、大きくいってふたつの理事会に分かれている。常任理事国(5カ国)と非常任理事国(10カ国)である。"常任≠ヘ米、英、フランス、ロシア、中国で国連憲章で地位が保証されており、変わることはないし、重要案件を採決するときに、このうち1カ国でも反対すれば議決不能という「拒否権」をもつ。非常任理事国は地域配分で加盟国の選挙で選出し、任期は2年である。理事国の協議で「監視団派遣」「人道的救援」「戦後復興」「核拡散防止」などが決定され、各国が協力している。
 国連の運営には加盟各国が拠出する分担金が当てられている。運営予算の総額は26億2,500万ドル。分担金ではアメリカが22%、英国が5.54%、フランス5.47%、中国が1.59%、ロシアが1.2%、ドイツが9.77%、イタリア5.07%の割り合いだが、日本は、なんと総額の19.52%も支払っているのである。常任理事国入りへの思惑とかつてのバブル景気のときの気前良さがそうさせたのかも知れないが、いまでは「重い負担」になっているような気がする。そして特に注目するのは、大国アメリカは"不景気など"を理由に、なんと『1億9,033万ドルもの分担金を未払い』していることである。また、アフリカ諸国の多くも分担金未払いである。
 さて、日本は「常任理事国入り」を実現して、一層の国際貢献をしたいといっている訳だが、そのためには、国連に「安保理改革案」を提案して審議の上、賛同してもらわなければならない。そこで日本はさきに最終的にドイツ、インド、ブラジルとともに「常任理事国枠を拡大し、現在の5に5をプラスして10常任国とする。新理事国は向こう15年間、拒否権を与えない」などの妥協を含めた案を提出した。本来は「全常任理事国の拒否権の撤廃」を主張したいのだが、これは、現常任理事国の反対があって実現しないのは歴然。
 日本とインド、ドイツなどの常任理事国入りのうち、特に日本入りに強硬に反対しているのは中国と韓国である。靖国、歴史観問題の対立感もあるが、中国などは「日本はアフリカ諸国に対し日本案に賛同しないと経済援助を削減するとか、国連分担金の未納分を肩がわりするなどの工作をしている」などの話を流して妨害しているという。日本政府は「なんとか年内に実現したい」と国連中枢に働きかけてはいるが、長年の希望がかなえられるのは相当苦しい。

〈訂正〉
前号「スポーツよもやま話」の中で、「朝青龍が史上初の6連覇」とあるのは誤りで、6連覇は横綱大鵬が過去に2度記録していたので訂正するとともにお詫びします。

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