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   2005年8月15日号
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<彰古館 往来>
陸自三宿駐屯地・衛生学校
〈シリーズ 43〉
軍隊料理法
 「腹が減っては戦が出来ない」という言葉があります。軍隊に限らず大人数が行動する際には「休息」と「食事」は最重要課題です。
 中でも食事は全員の士気に関わり、休息とともに体力回復に不可欠な要素です。
 また明治時代の陸軍では、脚気という未知の敵と戦うため、ドイツの最新の栄養学を中心に兵食の研究は盛んに行われていました。
 一回の食事のカロリー計算から、食材に含まれる栄養素の成分分析表を作成して、効率的な食事の採り方を研究する一方で、調理の現場で、その成果が生かされるよう、各種の指導をしておりました。
 日露戦争ではまだ、ビタミンの概念がありませんので、ビタミンB1の欠乏に起因する脚気は撲滅には至りませんでしたが、米と麦の混合食で何とか日露戦争を乗り切りました。
 日露戦争の終戦処理も終わる明治43年(1910)、画期的な教育資料が陸軍省から発刊されました。これが今回ご紹介する「軍隊調理法」で、調理に必要な全ての項目が網羅されています。
 陸普第三一三四号として発刊された調理法の巻頭言には「軍隊の料理は決して豪華であってはならない。しかし調理担当者が料理法を研究することなく、日々単調な献立を反復すれば、いくら新鮮な材料を使用していても、軍の目的を完遂することはできない。この本を担当者が読んで、いかに美味しく料理を作り、食べてもらうかを研究する切磋琢磨が必要だ」と巻頭言に書かれております。その」言葉のとおり、現在の調理師、栄養士の目で見ても立派な内容だといえます。
 第一章は調理の心得として塩梅、配合と盛方、食の習慣、器具の取扱、切り方、串の刺し方、焼き方など調理の基本を述べています。
 第二章各種調理法では、和食の主食、副食、洋食が、第三章では麺類、第四章は菓子類について、数十種類の料理のレシピが事細かに記述されています。
 例えば、海軍で有名なカレーライスについて陸軍料理法では「カレーライス(カレー汁掛飯)鍋に少量のヘットまたはラードを入れ、其中に出来るだけ細かに刻みたる玉ねぎとカレー粉とを適宜に入れて好く炊き、之に采の目形に切りたる肉とを混ぜ、湯を注ぎ、塩を加え、また僅かの酢を入れ、一時間ほど煮るなり。之を飯に注けて用いるなり。飯はかなり硬目に炊くを可とする」といった具合です。
 注意書きに「此の料理は毎日用いるは宜しからず。一週間に一、二度を適度とす」とあり、思わず笑ってしまいます。
 第五章には戦用糧食品使用法として乾麺包、缶詰肉、乾燥野菜などの説明があり、最終の第六章は食品選択標準という、材料の選定基準が示されています。
 この陸軍料理法がどれほど調理の現場で読まれていたのかは不明ですが、彰古館には昭和3年(1928)陸普第三五四八号「軍隊調理法」、昭和6年(1931)陸軍糧秣本廠が編纂した軍隊料理参考「軍隊料理法」と改訂版が現存しており、メニューも豊富になり、食材のグラム数も記載と、より詳細な内容で、今読んでも中々面白いものです。

<防大>
第10回国際防衛学セミナー開く
基調講演、研究会、総括討議など
各国代表が活発に意見交換
 防衛大学校(西原正校長)は、7月12日から14日までの間、同校本部庁舎大会議室で、国内外参加者を対象とした第10回国際防衛学セミナーを開催した。
 同セミナーの冒頭では、ドイツのクラウゼヴィッツ学会長クラウス・ラインハルト博士(退役陸軍大将)による「国家安全保障における軍隊の役割−−その変化を踏まえて」と題する基調講演が行われた。同博士の元NATO中欧連合軍司令官・KFOR司令官等としての豊富な実体験に裏打ちされた幅広い研究と考察に基づく含蓄に富む論及は、参加者に深い感銘を与えた。
 研究会は、学校長、副校長、幹事、ラインハルト博士、国外参加者など14名(オーストラリア連邦のオブザーバー1名を含む)、統合幕僚学校、陸上自衛隊幹部学校、航空自衛隊幹部学校及び海上自衛隊幹部候補生学校の教官・研究員ら、内外多数の参加者を得て、防衛学教育学群 国防論教育室の高田博幸1海佐による防大における国防論教育の現状等の紹介を皮切りに、国外参加者13名によるそれぞれの士官学校等の紹介が実施された。
 更にセッション別研究会及び総括討議では、「国家の安全保障における軍隊の役割に関する教育のあり方」を研究テーマとして、参加各国が行っている国防論教育の内容や教育の方法などについて活発な質疑応答が行われた。

陸自中央音楽隊が定期演奏会を開催
 陸上白衛隊中央音楽隊が第62回定例演奏会を次のとおり開催します。
 〈日時〉9月10日(土)開場13時15分、開演14時【会場】すみだトリフォニー大ホール
 〈指揮〉菅原茂隊長、武田晃副隊長【曲目】▽インプルーヴィング・ダンス〜4エピソード/情水大輔作曲▽プリズム・ラプソディ(マリンバソロ・馬渡英一3曹)/安倍圭子作曲、他
 〈申込方法〉往復はがきに、住所、氏名、年齢、電話番号を記入して〒178-8501東京都練馬区大泉学園町 陸上自衛隊中央音楽隊防衛ホーム係宛へお送り下さい。入場料は無料で、抽選で50名を招待します。詳しくは電話048・460・1711(内線4591)へお問い合わせ下さい。8月26日必着。

(財)防衛調達基盤整備協会
セキュリティ講演会を開催
 (財)防衛調達基盤整備協会(首藤新悟理事長)は、公益事業の一環として防衛装備品の生産や調達に関する技術情報管理(セキュリティ)をいかにすればよいか、主として技術面から取り組んでいます。そこで、これからのセキュリティのあり方を考える講演会を次のとおり開催します。
 〈日時〉9月2日(金)13時30分〜16時30分
 〈会場〉グランドヒル市ヶ谷3階(瑠璃の間)
 〈演題・講師〉▽「情報リスクマネジメントの実践と活用」小林誠氏(インターリスク総研総合リスクマネジメント部長)▽「情報セキュリティガバナンスを考える」内田勝也氏(情報セキュリティ大学院大学助教授)
 〈連絡先〉入場は無料で、聴講の申込みは8月26日(金)までに、(財)防衛調達基盤整備協会第一事業部(電話03・3358・8754 FAX03・3358・8735メールhozen@bsk2000.com)へ連絡下さい。

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