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   2005年8月1日号
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平成17年度自衛隊記念日行事決まる
 防衛庁は7月15日、平成17年度自衛隊記念日記念行事を左記の日程で実施することを決定しました。(行事、実施期日、場所の順)
 ▽追悼式(10月29日(土)、防衛庁慰霊碑地区)▽感謝状贈呈式(10月29日(土)、グランドヒル市ヶ谷)▽航空観閲式(10月30日(日)、航空自衛隊百里基地)▽自衛隊記念日祝賀レセプション(11月4日(金)、グランドヒル市ヶ谷)▽音楽まつり(11月18日(金)、11月19日(土)、日本武道館)▽体験飛行(12月4日(日)、航空自衛隊入間基地)

統合運用の道へ
統幕校44期卒業式
改革と創造に挑戦
 統合幕僚学校第44期一般課程卒業式が7月8日、目黒基地大講堂で行われた。
 この課程の教育目的は、上級部隊指揮官または上級幕僚としての職務を遂行するために必要な自衛隊の統合運用に関する広範な知識と技能を総合的に修得させることで、教育期間は約10カ月。学生数は陸12、海12、空10、留学生1の計35名。
 午前11時、開式の辞、国歌斉唱に続いて高橋健才学校長が登壇、卒業生一人ひとりに卒業証書を授与した。次いで、高橋学校長が式辞に立ち、わが国の安全保障に大きな影響を及ぼす国際的な問題や軍事科学技術の進展などについて触れながら、今まさに本格的な統合運用が開始されようとしている時期に卒業していく学生に対して「常に統合マインドをもって積極的に任務を遂行せよ」とはなむけの言葉を贈った。
 引き続き、今津寛副長官が訓示に立ち、国内外で活躍する自衛隊を称えながら「本課程で培った統合運用に関する幅広い知見を十二分に発揮し、常に自衛隊全体の視点に立って職務を遂行するよう」要望した。また、先崎一(はじめ)統幕議長が訓示の中で「統合推進のため、改革と創造に意欲的に挑戦せよ」「国際化時代にふさわしいリーダーとして自らを磨き、常に自己研鎖に努めよ」の2点を要望し、卒業式が終了した。
 卒業生の氏名、階級は次のとおり。
 〈陸〉▽石田裕1佐▽間瀬元康1佐▽坂下栄治1佐▽石崎敦士1佐▽甲斐田幸輝1佐▽渡辺辰悟1佐▽萩庭賢了1佐▽青木義昌1佐▽菅野俊夫1佐▽高橋弘典2佐▽佐々木博茂2佐▽藤井伸橘2佐
 〈海〉▽井上司1佐▽春木秀之1佐▽糟井裕之1佐▽南孝宜1佐▽村上良宏1佐▽藤田始1佐▽中川哲男1佐▽清水博文1佐▽門口欣也2佐▽佐々木輝幸2佐▽浮田隆2佐▽荒川純一2佐
 〈空〉▽時藤和夫1佐▽山田真史1佐▽宮本敏明1佐▽柳澤浩幸1佐▽新井正弘2佐▽別府安紀2佐▽遠目塚進2佐▽東巽2佐▽清水俊和2佐▽白水裕人2佐
 〈パキスタン留学生〉アリフ・マームード空軍大佐

3学年257名、富士で野営訓練
<少工校>
 少年工科学校(学校長・別所利通陸将補)は6月30日〜7月10日までの間、第3学年(257名)富士野営訓練を実施した。
 この訓練は、東富士演習場で野外勤務や野戦築城に関する隊員各個の動作、戦闘訓練における小銃班の組長・班長の指揮の概要を修得させる目的で実施しているもので、今回の訓練では、各個戦闘(実弾下戦闘訓練・夜間戦闘訓練含む)、小部隊の戦闘(小銃組・班の攻撃)、歩哨及び斥候(夜間含む)・接敵行進、小銃露天掩体(1人用)の構築等を演練した。3学年生徒は、2学年時に校内での集中訓練において基礎的な動作は演練しているものの広大な富士演習場での現地現物を利用した訓練では、組長・班長としての指揮の難しさを皆痛感したようだった。
 特に実弾下戦闘訓練では、機関銃の射撃音とTNTの爆発音による実戦さながらの様相に驚きを露にしたが、生徒は皆、貴重な体験をしたと口々に語っていた。また、訓練の終盤には恒例の富士登山を実施し、登頂後は同期生一同笑顔で達成感を分かち合う光景が見受けられた。
 3学年生徒は、少工校在校間における最大の訓練を終え、一回りも二回りも成長し、今年度最大の行事である少年工科学校創立50周年記念行事(9月30日〜10月2日)の成功へ向け、大きく前進した。

<論陣>
EU憲法は実現するのか
理想と現実のはざまの各国
 EU(欧州連合)の"EU憲法批准が加盟各国の国民投票で否決され、憲法制定が危機に直面している"との報道が相次いでいる。ところが一般庶民には「欧州のEU加盟各国(25カ国)には、それぞれ歴史と伝統がある憲法があるのに、なぜ、EU全体の憲法が必要なのか」などの疑問が湧く。実際、新聞の外報面を読んでも、調印や批准の記事は載っているが、元になる条文を載せている記事は、ほとんどといっていいくらい無い。これで「EU憲法を理解したい」と思ってもどだい無理な話である。そこで手元に入手できた資料を元に読者のみなさんと「EU憲法のあらまし」を勉強したい。
 欧州西側諸国は、外交、貿易、通貨関係などを円滑に運用しようと1991年1月、オランダでEC(欧州共同体)首脳会議を開いて、93年11月1日からECをさらに一歩前進させた欧州連合体(EU)を15カ国で発足させた。これが、いま話題の"EU"である。加盟国はそのご増え現在25カ国になり、2007年にはブルガリアとルーマニアの2カ国が加盟することになっている。これだけ大きな国際的な組織になると、外交、安全保障、経済などの約束事を個々の条約だけで形作っていくのが至難なことになる。そこで、それらを統轄的に一本化して全加盟国が守っていこうというのが、"EU憲法"なのである。だから、正式に訳すと単なる憲法ではなく"欧州憲法条約"なのである。
 いわゆる憲法法案は前文のほか6章、別条からなっている。目的は平和、民主主義など共通価値、福祉の促進。条文では、目的を達成するためEUは欧州議会、欧州理事会、閣僚理事会、欧州委員会、司法裁判所を設置する。欧州理事会は理事会を主宰する大統領を選出し任命する。欧州委員会は委員長を指名し、議会を任命、議長の同意を得て外相を任命する。加盟国の過半数とEU全人口の60%を超えることが多数決の原則。テロの脅威や天災、人災には連帯の精神で共同して行動する――などを中心に、政治、安保、経済を協力一致して前進させていくという内容になっている。
 これだけの大条約(憲法)だから、各国の代表者が一堂に集まって署名調印だけすれば、すぐ発効という軽いものではない。調印した法案を、代表者がそれぞれの国に持ち返って国会の承認を得るか、国民投票をして国民の賛成を得なければならない。調印のあとのこうした手続きを法律用語で「批准=ひじゅん=」というのである。
 批准の方法は各国にまかされているが、国会承認であれ、国民投票であれ、その結果、全加盟国が批准することが原則になっている。ただ、憲法自体が最大5カ国の否決があっても、修正などで一応、廃案になることは避けられる形になっている。しかし、否決が6力国以上になるとEUが世界に誇る"憲法"が、雲散霧消してしまい、欧州は再び「各国勝手次第の地域」になってしまう。それだけに"批准"の行方が注目されているのである。
 国民投票ではフランス、オランダがすでに否決している。ボーランドは10月、ボルトガルも10月に国民投票、スウェーデン、フィンランド、エストニア、マルタなどの国会も、これから承認するかどうかの議会が招集される。
 EU憲法が潰れてしまうと、まず、一番に問題になるのは「通貨」である。EUは拷問、強制労働の廃止、政治亡命問題や共同安全保障体制など、数多くの課題をかかえているが、当面、最大の課題は「ユーロ」という名の「通貨」である。
 EUは加盟国の通貨以外にヨーロッパどこでも通用する狙いの「ユーロ」を発行した。99年1月からは各国の銀行間の取引はユーロで行われ、2002年1月1日からは紙幣、コインも発行され、現に各国市中で通用し、いまや定着している。通貨協定に加入していないのはイギリスだけである。「栄えある女王陛下のボンドは守る」という訳だ。皮肉なことに、そのイギリスが、この7月からEUの議長国となる。そのイギリスは来春に行うはずだった国民投票を凍結するとさきごろ発表。理由は「オランダ、フランスが否決では投票させるための議論に意味はない」というのである。むずかしい壁にぶつかったものだ。

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