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   2005年5月15日号
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<彰古館 往来>
陸自三宿駐屯地・衛生学校
コンバットストレス
<シリーズ40>
現代社会はストレスの時代です。発作的な殺人や自殺など、暗いニュースが目に付きます。ストレスを適度にガス抜きする術を会得できない場合は、専門医の治療を受けることが早期回復に繋がります。精神科のカウンセリングなど、様々な治療方法があります。
 戦場で兵士が受けるストレスは、平時の一般的なストレスの域をはるかに超えるものです。我が国では、西南戦争、日清戦争、そして日露戦争で、近代国家に脱皮する過程の洗礼として多くの戦死者、戦傷病者を、そして戦争神経症患者を出しました。
 こうして戦争神経症の症例を蓄積していた陸軍でしたが、当時すでに原因のひとつに「精神過労」という言葉で「コンバットストレス」を認識していました。
 陸軍でも精神科の軍医の数は限られていますが、多くの症例を持つことで、民間よりも進んだ、つまり科学的な分析が行われています。その治療法については、薬餌療法と精神療法と養生のバランスが重要で決して投薬だけや、神頼みで治すことは不可能だとしています。これを戦場での歩兵と砲兵に例えて「薬餌療法は歩兵、精神療法は砲兵である」「薬物だけでは精神神経症という大きな敵と戦うことは出来ない。適切な精神療法で支援することで初めて大きな効果が期待できる」と考えていました。
 薬餌療法、精神療法のほかに養生として転地療法、食餌療法、温泉療法、体操などが挙げられています。
 現在ですとそのほかに、器具を使用して刺激を与える治療法もあり、電気治療法などがその代表です。
 日露戦争後に陸軍衛生事跡を纏めた「明治37・8年戦役衛生事跡」という膨大な量の統計資料が編纂された明治44年(1911)、久保光蔵軍医が脳神経病新論という書を著しております。これを見ると、既に電気治療が推薦されている先進性に驚かされます。
 江戸末期から民間において使用されていた「平流電気」「感伝電気」など呼ばれる電気治療器がありました。明治初年に陸軍が使用していた輸入品、国産品が彰古館に現存しております。手回し式の発電装置、または蓄電池を使用し、皮膚に刺激を与えることで神経麻痺の治療に使用していたものです。久保軍医の著書によると、古くから両者を単独、または併用して戦争神経症患者の治療に当たっていたことが分かります。現在の電気治療は、通常は体が跳ねる程の電圧を使用しますが、当時の電気治療器の電圧はせいぜい皮膚がピリピリする程度のものです。果たして、実際に効果はあったのでしょうか?
 実は現在でも精神科の治療の現場に同様の低電圧の電気治療器が存在します。流石に電源は家庭用コンセントから取りますが。軽度のうつ病は、こめかみに電極を当てて電流を流すと、なぜか治癒してしまうそうです。医学的に証明されてはいませんが、顕著な効果は認知され、現在でも使用されているのです。
病める現代人と同様の疾患を、既に100年以上前の軍医達が見つめていたことを、彰古館の所蔵資料で理解することが出来ます。

「頑張っています」新しい職場
活躍するOB シリーズ
東和観光開発M 堀重和雄
平成16年4月1輸空隊修理隊(小牧)を准空尉で定年退職 55歳
 昨年4月、第1輸送航空隊勤務を最後に定年退職しました。今後の人生を考え、郷里である山口県周防大島へ帰る決心をしたところ、防府南基地援護室の紹介により、8月から現在の職場であるホテル&リゾート・サンシャインサザンセトへ就職することが出来ました。
 ホテルでの私の仕事は、主として送迎バスの運転です。安全第一を心掛け運転する事は勿論ですが、今日までサービス業に縁の薄かった私はお客様に接する難しさを痛感する毎日です。仕事の性質からお客様に最初と最後にお会いする場合が多く、その対応の善し悪しがホテル全体の印象ともなりかねません。お客様が良かった、また来たいと思って下さるように言葉遣い、態度等に気を配り、毎日が勉強だと考え頑張っています。
 今、現役で頑張っている人に遅かれ早かれ定年の日は訪れます。人生で何が一番大切かと聞かれたら私は迷わず『心身共に健康である事』と答えます。あらゆる病気において直接的、間接的に原因となるものの一つにストレスの蓄積があると思います。ストレスの解消法は人それぞれで難しいと思いますが、趣味などを通じて気分転換を図る事も一つの方策かと思います。
 次に、私の勤務するホテルの紹介を少しさせて頂きます。当ホテルは周防大島町の中でもきれいな海と砂浜で名高い片添ヶ浜にあり、四国の山々も遠く望め、朝日が美しいと評判です。その景色はハワイのワイキキビーチに来たのかと錯覚さえ起こしそうなくらいです。また、入社後感じた事の中に人間関係の良さがあります。第二の人生をこのような素晴らしい職場に紹介頂いた防府南基地援護室の方々には本当に感謝して居ります。全国各地で援護業務に携わっている方々にとっては不景気で先の見えにくい世の中でもあり、何かと大変でしょうが体に気をつけて頑張って頂きたいと思います。
 最後に、今日までお世話になった方々にもお礼を述べさせて頂きたいと思います。有り難うございました。

部隊コンサートのお知らせ
陸自中央音楽隊が定期演奏会を開催
 陸上自衛隊中央音楽隊が第54回定期演奏会を開催します。日時、場所、申込み方法などは次のとおりです。
 〈日時〉6月17日(金)▽開場18時15日▽開演19時
 〈会場〉東京芸術劇場
 〈指揮〉菅原茂(隊長)
 〈曲目〉▽防衛庁・自衛隊50周年記念曲「輝ける勇者たち」/渡辺俊幸▽どろぼうかささぎ/ロッシーニ▽組曲「クープランの墓」/ラヴェル▽中央アジアの草原にて/ボロディン▽交響曲第2番/ボロディン
 〈入場料〉無料(往復はがきにて抽選)
 〈申込み方法〉住所、氏名、年齢、電話番号を記入して〒178-8501東京都練馬区大泉学園町 陸上自衛隊中央音楽隊「防衛ホーム」係宛てお送りください▽締切り5月27日(金)必着▽招待数50名 ※往復はがき抽選で1名様入場。未就学児童の入場はお断り致します。
 〈お問い合わせ〉中央音楽隊演奏班TEL048・460・1711(内線4591)担当・菅原

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