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   2005年4月1日号
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これが「元祖・総合格闘技」だ!
第21回全自衛隊徒手格闘選手大会
 第21回全自衛隊徒手格闘選手権大会が3月4日と5日、全自衛隊徒手格闘連盟主催で自衛隊体育学校・球技体育館で行われた。
 タテに握ったこぶしを、ひねらず素早く叩き込む「直突き」は、防具ごしにも相手をKOしてしまう必殺の一撃。一発を奪い合う攻防をめぐり、陸海空の猛者が拳を交えた。
 安全な防具により、突き、蹴り、投げの実戦練習が可能な自衛隊の「徒手格闘」は、柔道・合気道・日本拳法をベースとした格闘技であり、強烈な破壊力の「タテ拳」は他流試合でも威力を発揮することで知られている。
 自衛隊では目下、市街地等での対処訓練はじめ、新たな脅威に備えており、また世間では各種総合格闘技が人気である。部内外でもっと注目されてもいい。そんな実践的格闘技が自衛隊徒手格闘だ。
 4日の団体戦では強豪・富士教導団が、無敵の精鋭・第1空挺団を破り、悲願の初優勝を飾った。
 5日には男子の体重別個人戦3部門、女子の個人戦が行われ、白兵の頂点を競った。今回、航空自衛隊が2度目の参戦、海上自衛隊の選手が初挑戦した。
(3月4日、朝霞駐屯地)
【空挺団の15連覇を阻止、富士教導団が初優勝】
 勝ちに行く気迫がみなぎっていた。団体戦決勝で円陣を組み、地を踏みしめて気勢をあげる富士教導団Aチーム。14年間、憎らしいほどの強さを見せつけてきた覇王・第1空挺団Aチームの15連覇を阻止し、トーナメントを征した。
 準決勝での空挺団Bチームとあわせ、王者との激闘を2戦勝ち抜いた教導団は、初めて宿願の団体優勝旗をつかんだ。団長もろとも男涙の胴上げとなった。
【見所満載の元祖「総合」】
 一瞬の隙をつき一撃で決めたい速攻派。ハイ・キックで美しく決めるKOアーチスト。またグランドで勝負をつけたい寝技派は、マウント・ポジションから押さえ込んでの打撃で相手を沈める…。戦法は多種多彩だ。
 ルールも修正され、今では顔面への蹴りも可能。強打に残心、型もしっかり決まれば一本になる。ただし防具以外への打撃は「擬するのみ」が鉄則。8オンスのグラブをつけた腕で相手を巻いて投げ、しっかり決まればこれも一本となる。
 効果だの有効だの、細かいポイントは一切ない。タイムアップの赤い座布団が投入されるまで、相手を倒すに充分な一撃を、2本先取するのみだ。
 18普連(真駒内)は、シードなしで第4試合まで勝ち進み、空挺団Bと対戦。傷だらけの防具に歴戦の迫力が漂う王者を、果敢に追い込む名勝負を展開した。印象に残った一戦として、この勝負をあげたい。
【合理的な武道的格闘技】
 「総合」は試合ルールが先にあり、その中で勝つスタイルを選手各人が研究していく「競技」。一方で「徒格」は技術体系があり、技と心を学ぶ「武道的要素を含む格闘技」だ。
 日々の練習では打撃を当てないのに、試合だけでフルに打ち合うような「競技」では、選手のダメージは深刻である。くらべて徒格では、練習から防具をつけて打ち合うため、初歩から実戦的で安全、上達も早いはず。
 「直突き」の強打をヘッド・スリップでかいくぐって、飛び込むカンも短期間で培われるはずだ。シンプルでわかりやすいルールは、説明無用。実際に大会を見て、選手たちを応援してほしい。

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