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   2004年12月15日号
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〈防衛庁発令〉
 早川正道(はやかわ・まさみち)
 昭和21年生まれ、東京都
     慶應義塾大学医学部卒
   59 琉球大学助教授
    6 防医大助教授
   10 防医大教授
   13 防医大形成外科部長
   15 防医大教務部長
 防衛医科大学校副校長=教育担当兼ねて医学教育部長、教務部長事務取扱(防医大教務部長兼教授兼病院泌尿器科部長)
   教官  早川 正道(12月1日)

<論陣>
HIV(エイズウイルス)感染者が急増
日本の患者、死者も多い
 不名誉な話だが、わが国でエイズウイルス(HIV)感染者が急増している。「増えているといっても血液製剤を使った医療からの感染だろう」などと他人事のように考えがちだが、いま日本国内で問題になっている6,637人の感染者は、"性的接触"が原因なのである。特に男性同志の性行為からの感染、患者が増えているというから"警告"に値する。
 こうした数字は、日本などが独自で調査したものを国連合同エイズ計画と世界保健機関(WHO)に送り、世界的に統計をとったもので、国際的に最も権威があるものとされている。
 同計画の発表によると、2004年末の全世界のHIV感染者は、最新推計で3,940万人で、03年に比べると、およそ180万人も増えるとしている。エイズ患者の死者の数も、感染者増に比例して当然、増えるので、およそ前年比20万人増の310万人にのぼると同計画は発表している。
 地域別に感染者数を見ると、アフリカでもサハラ砂漠以南が最も多く2,540万人で、新しい感染者が310万人もいる一方で死者が230万人となっている。これらの数字はエイズ関係数の3分の2を占めている。つぎに多いのは南・東南アジアの710万人、南米の170万人、東欧・中央アジアの140万人、東アジアの110万人、北米100万人、西欧61万人、北アフリカ・中東の54万人、カリブ海沿岸44万人、オセアニア3万5千人の順となっている。だが、注意しなければならないのは、過去2年間で感染者が目立って増えているのは中国とインドネシアである点。日本人旅行者が好んで旅をする国々で、「恐ろしい現象」が起きていることである。
 日本の場合も同計画報告書には詳しく述べられている。日本の厚生労働省の情報、分析も加えて説明してみよう。同省によると、血液製剤を原因とするHIV感染者やエイズ患者は全国のエイズ拠点病院でその数は確認できている。問題は、薬剤感染以外のものである。その数は、本人が検査結果を恐れて検査に行かないものなどが相当数いると思われるので同省でも「はっきりつかめないのが実情」だという。
 それでも一応の概数だけはつかんでいる。その数は2004年9月末現在で6,337人(うち日本人4,472人)が感染者。エイズ患者は3,164人(うち日本人2,390人)だという。日本の場合、1年間に増加する感染者の数の平均は640人。「じゃあ、ことしは558人増だから平均より少ないのでは」などと考えてはいけない。ことしの数字は"9月末"であり、例年は"12月末"なのである。となると、ことしは、むしろ例年に比べ増加傾向にあるということになる。
 エイズにかかる主な原因は、もちろん、無防備なセックスである。日本人の性に対する考え方は、ひと昔前に比べると、さらに解放的になっている。その傾向が、いい、悪いの問題を論じている訳ではない。「節度と知識が必要だ」と言っているのである。
 例えば避妊具。まだ子供が欲しくないからとか、結婚前だからとかいって使っていたものが、いまでは、いまひとつの目的が加わってきている。セックスの相手を信用しない訳ではないが、エイズ防御のためも考えていいのではないか。というのは、厚生労働省研究班の研究でも「薬害エイズ感染者からの重複感染はありうる。防御策は必要」と述べている。相手を軽べつしているのではなく"科学的確認"までは避妊具も必要といっているのである。
 同省の統計で見落してはならないのが、04年エイズ新感染者558人のうち340人が"同性間性的接触"によるものが原因になっているという。ホモセクシュアル的な性行為の内容については説明されていないが、とに角、HIVが、男性自身に付着、万が一、傷でもつけばそこからHIVが侵入、感染するということであろう。口腔にもHIVは存在するそうだから怖い話である。性のモラルの低下による社会悪の台頭、ひいては犯罪の兇悪化につながるともいわれている。「エイズ? 関係ないや」ではなく、今一度、立ち停まって考えるべきことかも知れない。

東富士を撮り続けて…
富士本屋写真部  佐藤欣一氏(写真提供)
〈シリーズ 11〉
弾着観測班
騎兵部隊(昭和初期)
気球部隊。昭和12年
滝ヶ原飛行場(現米軍キャンプ)付近。

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