防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース 防衛ホーム新聞社 防衛ホーム新聞社
   2004年11月1日号
1面 2面 3面 6面 7面 8面 9面 11面 12面

台風21号
1900隊員、300車両が災派出動
<33普連>
廣瀬10師団長、現地で隊員を激励
廣瀬師団長が現地を視察し隊員を激励
大量の土砂に埋もれた家屋から行方不明者を捜索
懸命の給水活動
 9月29日午前10時55分、三重県知事から台風21号による行方不明者の捜索・救助、孤立した住民救助並びに給水支援の要請を受けた33普連(連隊長・井上茂利1佐=久居)は、師団の増援を受け、県内の宮川村、紀伊長島町、海山町へ災害派遣に出動した。
 要請を受けた33普連は、初動派遣部隊29名を要請のあった海山町へ派遣。次いで主力は他県で訓練中だったため、残留者で派遣部隊を編成して現地へ急行した。一方、他県で訓練中の連隊主力を急遽、久居駐屯地に帰隊させ、速やかに災害派遣準備を行い、逐次災害現場へと向かった。

宮川村へ災害派遣
 「山津波」と昔の人が恐れていた土砂災害が発生した宮川村では、土砂が民家を飲み込み行方不明者や道路崩落など大きな被害をもたらした。現地に到着した隊員らは雨の激しく降る中、土砂によって押し流された家屋や岩などを掘り起こし、行方不明者の捜索活動を懸命に行った。翌30日以降は天候も回復し捜索活動は順調に進んだが、残念ながら5名の方を遺体で発見した。
 また、現場は急峻な所に位置しており、水位が増している濁流の宮川のそばでの捜索活動は、ロープなどで身の安全を確保した状態での危険な活動になった。
 一方、断水状態の地域に対しては給水活動などを行った。

紀伊長島町へ
 老人ホーム内に取り残された約80名のお年寄りを学校などの安全な場所に輸送したあと、工事現場で行方不明となっている男性の捜索を開始。29日夕から30日早朝にかけて懸命の捜索活動を行っていたところ、同日午前、難を逃れて隣村で行方不明になっていた男性が発見され、捜索隊はホッと胸を撫で下ろしていた。

海山町へ災害派遣
到着した初動派遣部隊は、速やかに行方不明者の捜索に取りかかるとともに救援物資などを避難場所へ輸送した。

廣瀬師団長が視察
 災害派遣間、第10師団長・廣瀬清一陸将が災害派遣活動を行う宮川村を視察し、懸命な活動を行う隊員に、声を掛け激励した。
 10月5日15時、知事からの部隊撤収要請により富川村での給水活動を行っていた部隊を撤収、一連の災害派遣活動を終了した。
 この度の災害派遣活動では、派遣人員数延べ約1,900名、車両数延べ約300両に達した。


東富士を撮り続けて…
富士本屋写真部 佐藤欣一氏(写真提供)
歩兵3連隊の兵士が勢子になり地元民と共同で行ったうさぎ狩り
据付け砲の運搬。この為に線路まで作って作業をした
大正12年、大震災の災害派遣は徒歩で

<論陣>
死ぬ気でやれば不可能なし
集合自殺事件から
 「こんにちは、初めまして、一緒に自殺しませんか?」。「いいよ、レンタカーを何月何日に借りて、煉炭とコンロを用意して−−」。こんな馬鹿な集合自殺。本気でやってしまったのだから呆れてものが言えない。人の命の尊さを何だと思っているのか。
 「死ぬんだったら、悩み抜いた末、一人で死ね」。さきに埼玉県・神奈川県で起きた"集合自殺"事件についての率直な感想である。
 お説教じみるかも知れないが、人間の生きるとか死ぬとかいう問題は、その人や周辺の人達にとっても大きな出来事であり、そのごの人生を左右するかも知れない深刻事である。それを「こんにちは、初めまして−−」を導入口にしてやられてはたまったものではない。
 自殺なんてものは、本来、絶対に許されるものであるはずがない。死ぬまで考えるのなら"死んだ気になってやれば"まず、不可能なことはない。ことの大小は別にして、目的に近づけるものだし、さらに一歩努力すれば、必ず目的は達成できるのである。
 こんどの集合自殺事件は、インターネットが接点になっている。別にコンピュータやインターネットの存在を"悪"視している訳ではないが、自殺志願サイトなどが野放しに使われていることについては、強く「反対」と言わざるを得ない。
 自殺志願者がサイトで志願者を募集する。応募するほうも良くないが、問題は募集する者の神経である。こんどの事件を見ても、自殺者は主婦、フリーター、受験に失敗した浪人生など、それも20歳代から30歳代のいまから「世のため、人のため」に働ける人たちばかりではないか。それを30代の主婦が「どう、みんなで死なない?」と誘っているふしがある。その主婦は2児の母親だという。そんな誘いにのって東北から九州まで男女7人が集合自殺。死ぬものは気楽でいいだろうが、残された親兄弟姉妹、友人たちの心は、乱れに乱れ、かなしみに暮れたはずである。
 死ぬほどの悩みがあるなら、肉親や親友に相談しなさい。心の苦しみを涙ながらに打ち明けてくる者を邪けんにする人はいないはずである。いや、親身になって話に乗ってくれる人がほとんどである。そうした話し合い、打ち明け話の中から"明日への光"が差してくることは間違いない。
 いちばん心配するのは、こんな馬鹿馬鹿しい風潮が"流行する"ことである。とかく、"流行"の波は広がり易い。
 かつて、自殺についてのうそのような本当の話を聞いたことがある。ジャーナリストの大先輩の取材実話である。昭和の始め、一時、伊豆大島の三原山の火口から飛び降り自殺する事件が相次いだことがあった。ひどいときには1週間に5人も、6人も自殺行するものが現われたという話が伝わった。東京では「自殺志願者が列を作って三原山に登っている」という噂まで流れ始めた。その頃、新米記者だったA氏は、社会部長に呼ばれ「本当かどうか確かめて来い」と命令された。A氏は、おにぎり1個を食べて三原山へ向かい、山頂にたどりついた。確かに大勢の観光客はいたが、自殺しそうな奴は見当らない。すると、一人の男が大声で叫んだ「誰か死なないのか!自殺を見に来たのに。早く飛び込め!」。その場に居合わせた老若男女は、その男の顔をのぞき込んで笑うだけ。一人も自殺する人は現われなかった。男は恥かしそうな顔をして、こそこそと一人引き返していった。本当の自殺者が出たのは、その日から3日後、1人だけだったという。流言飛語。流行なんて、こんなことから作られるものである。特に、集合自殺なんて"美"でもなんでもない。そこには、教養も、社会性も、愛情すら見出すことができない。受験に失敗したから−−。努力が足りなかったかも知れないし、希望する道と自分の性格、能力が違うかも知れない。就職できなかった。やりたい仕事に体ごとぶつかっているのか。それを相手に分かってもらえるように努力しているのか。妻としての本当の努力をしているのか。そんな反省も必要。その上で、"悩み"は身近な心許せる人に打ち明けるのが一番。受験生諸君、あとひと頑張りしよう。

〈訂正〉10月1日号7面「三重地連」の記事中、7月25日現在の部長は「佐藤晃章1陸佐」でしたので訂正致します。

6面へ
(ヘルプ)
Copyright (C) 2001-2008 Boueihome Shinbun Inc