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   2004年9月1日号
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新潟県豪雨災派に参加
浜松救難隊 救難員
1空曹  吉川 真二
 正午のニュースで、新潟地方に大雨洪水警報が出されたことは知っていた。その後は日常業務に追われ、また、浜松はうだるような快晴だったこともあり、特に気にもしていなかったが、指揮所からの災害派遣の情報を耳にし、正午のニュースから数時間のうちに新潟地方は最悪の状況になっていたことを知った。
 浜松を離陸したのは、確か15時をすぎていたと思う。新潟につく頃には、日も暮れていることが予想されたので、進出途中にもピックアップする可能性もあるかもしれないなどと考えながら、20年くらい以前に百里基地近くの那珂川が氾濫した時の状況を思い出しながら、腹案を練りながら向かった。
 新潟へ向かう途中の天気は、非常に悪く、時折、海岸線から見える川からは、濁流が海へ流れ込み海は茶色に変色していた。
 ようやく到着し、新潟救難隊の救難員に現場の状況を確認し、明日の離陸に備えた。当日の天気は雨模様だったが、湿度が高くじっとしているだけでも汗ばんでくるような蒸し暑い日だった。ライフラインがストップしている中で一夜を過ごす人のことを考えると、一刻も早く、安全で快適な場所へ連れて行ってあげたかった。
 夜が明け、準備のためのウエットスーツに着替えた頃には、もう汗びっしょりだった。離陸後まず、収容した人を下ろす小学校を確認し、救助に向かった。現場に到着してみると、町一面が水浸しの状態だった。至る所で家の屋根から助けを求める人たちがすぐに確認できた。子供、老人を優先し、救助した人数が、7〜8人になった時点で避難場所の小学校に連れて行くこととし、一人ずつ進出救難員と一緒につり上げを実施した。屋根の上にいる人の救助は、比較的容易に実施できるが、住宅地ということで、周りの電線などの障害物や、飛散しそうなものも多い。しかも大規模な災害派遣にはつきものの多数の報道ヘリもいて、住宅街での救助の特異性を感じた。
 つり上げ等の教育も受けてない民間人の救助にあたっては、絶対に怪我を負わせないことは言うまでもないが、時間をかけてつり上げ手順を説明し、不安を取り除き、特に気持ちを落ち着かせることを念頭に実施した。その甲斐あってか、当初、「怖い」といって躊躇していた小学生くらいの女の子が、避難場所に着陸して「怖くなかった」といって手を振っていった時は、苦労が報われた気がした。
 最後に、20年近くたって過去の経験が生かされ、改めて教訓を語り継ぐことの大切さを思い知らされた。

レタリング技能検定を受験
中央病院職能補導所
3陸曹  米村 洋一
 私は、今年の4月に北海道の北千歳駐屯地から三宿の職能補導所に入所しました。部隊に戻った時や退職した時に役に立てばと思いレタリングの勉強をしています。そして、6月6日にレタリング技能検定3級と4級が実施され受験しました。合格することを目標に日夜勉強し励んできました。
 7月12日に結果通知が送られてきて、「遂にきたか」と私は緊張しました。自分としては3級の出来具合に手応えがなかったので、できれば永久に結果を知りたくなかったのですが、受け取った通知を開けると、まず4級の合格通知が出てきました。これは受かると思っていたので当然と思いました。そして3級と書かれた紙があり、一緒に見ていた教官が「3級合格してるぞ。おめでとう」と言ってくれました。私は一瞬キョトンとした顔になったあと、感激のあまり次第に喜びがにじみでてきました。
 思えば入所してから試験日まで検定を目標にひたすら頑張ってきましたが、レタリングの経験もなく、絵も苦手である私は毎日が四苦八苦の連続。なぜなら、入所したのが4月5日で試験日は6月6日とわずか2ヵ月の期間しかないし、勝手の分からない私が合格できるだろうかと不安になったのも無理がない。その日から試験に向けての特訓ともいえる授業が始まり、一言で言ってこの間は本当に苦労しました。過去の検定試験問題を毎日何度もやり、その度に挫折と諦めの繰り返し。過去の問題には簡単なものと難しいものがあり、うまくいくときもありましたが、失敗した時は落ち込みました。でも、やるからには合格したいと頑張り続けました。
 試験当日、午前中に3級検定があり、問題が配られた瞬間「あっ、終わった」と思いました。そこには、今までの練習問題とは比べものにならないくらい難しい問題が出題されていました。それでも何とか時間内に全部解答を埋めることができました。
 試験が終わり、すぐに午後の4級検定に切り替えました。さすがに4級は易しく、手応えバッチリの感触でした。
 すべの検定が終わり会場を出た時の正直な感想は「疲れた」でした。本当にドッと疲れが出てきて、気が抜けました。私は、3級はあれで受かったら奇跡だなと思いながら、4級は大丈夫だろうと期待半分、諦め半分という感じでした。でも、3級が合格しなければ意味がないなと思ったりもしました。だから、合格通知を受け取った時はすぐには信じられませんでした。しかし、実際に合格の結果が出てきたので本当に良かったと思いました。やはり、努力すればそれなりに結果はついてくるのだとしみじみ感じました。

講演会のお知らせ
〈防衛調達基盤整備協会〉
 (財)防衛調達基盤整備協会(首藤新悟理事長)は、設立の趣旨をふまえ公益事業の一環として、防衛装備品の生産と調達に関する技術情報管理(セキュリティ)をいかにすればよいかについて、主として技術的側面から取り組んでいます。
 そこで、これからの技術情報管理のあり方を考える際の一助にするため、次のとおり講演会を開催します。
 〈日時〉9月7日(火) 13時30分〜16時30分
 〈会場〉グランドヒル市ヶ谷 3階「瑠璃の間」(JR、地下鉄の市ヶ谷駅から徒歩5分)電話03・3268・0111)
 〈演題・講師〉▽「サイバー戦の現状と情報保証」・浅原健氏(株・三菱総合研究所主席研究員)▽「米国における情報セキュリティとバイオメトリクス」・福永真美氏(株・シー・キューブド・アイ・システムズ システム課長)
 〈連絡先〉(財)防衛調達基盤整備協会第1事業部電話03・3358・8754 FAX03・3358・8735)
 〈その他〉
(1)8月27日(金)までにお申込み下さい
(2)当日の会場受付は13時からで来場の際に名刺をお渡し下さい
(3)入場料は無料です。

防研職員(研究職)を募集
受付期間は、平成16年8月13日(金)から平成16年9月13日(月)まで。詳細は防衛研究所ホームページ

シリーズ イラク派遣を終えて
航空自衛隊第6高射群
第21高射隊  1空曹  佐藤 豊
 昨年11月7日の金曜日、イラク復興支援の派遣要員となるべく、第1報を受けてから帰国するまでの約半年は、自衛隊生活の中でも大変長く慌ただしい時間でした。派遣にあたり、健康診断、予防接種、教育等で年末にかけてほとんど部隊にいることがなく、当然家を空けることも多くなり、家族も私以上に大変だったことと思います。
 1月22日、まだまだ寒い小牧基地で多くの方の見送りを受け、政府専用機に乗り込みクウェートに向け出発しました。翌23日、ほとんど降ることはないと聞いていた雨の降るクウェートに到着しました。アラーの神が自衛隊を歓迎するために降らせたのではないだろうかと思いたくなるような雨でした。しかも、私たちが到着する1週間ほど前から降っていたそうで、1年分の雨が降ったのではないかといわれていました。雨に打たれたおかげで、これからがんばるぞという気持ちになった?ような気がしました。
 雨の中での出迎えのセレモニーが終了し、3カ月間生活する隊舎に入った第一印象は「想像していたよりきれい」ということでした。元々ある建物のため、確かに古いのですが、私たちより1カ月程先に来ていた先遣要員の隊員が掃除をし、ベッド等も並べられて最低限の生活空間ができていたことも「きれい」と思った一因かもしれません。先遣要員の方々には改めて感謝したいと思います。
 しかしながら、すべて日本と同じようにとはいきません。まず、水ですが水道水をそのまま飲むことは出来ませんでした。見た目には濁っているということもないわけですが、事前に飲まないようにとの指導もあり、飲料用としてミネラルウォーターが配分されていました。そして、トイレとシャワーですが、当初トイレはアラビア式?(日本の和式のようなもの)で、形は別としてすぐに詰まってしまうし、シャワーは3、4人が使うと水になったり、急に熱湯になったりすような状況でした。私たちが帰る頃にはトイレは洋式に、シャワーはボイラーの容量が大きくなり、徐々に環境が整備されてきました。
 ところで、砂漠といえば砂だけで、緑のないイメージでしたが、そんなことはなく、アリ・アル・サレム基地内には黄色の花が一面に咲き、日本の春と変わりないような印象を受けました。そして、砂漠といえばラクダです。もしかしてラクダを見ることができるのではと漠然と思っていましたが、意外にも簡単に見ることが出来ました。車で走っていると道路脇の砂地を散歩でもしているのであろうラクダを十数頭見かけることが何度かありました。動物園以外でラクダを見たのは初めてであり、クウェートに来て良かったと思った瞬間でもありました。
 最後に、不在間、支援していただいた部隊の方々、そして、留守中家を守ってくれた家族のおかげで3力月間無事に勤務できました。感謝しています。また、イラクの1日も早い復興と、子供たちが夢を持てる国になることを祈っています。

防衛ホーム 俳句コーナー
 うしろより耳に吹く風秋立ちぬ  井出かへい
 道祖神埋めつくして草の花  益子 千翠
 機上より俯瞰(ふかん)の蝦夷の土用波  江口 景舟
 底辺の暮しも愉し秋刀魚焼く  佐藤 泰之
 すれちがふ尼僧の香り秋彼岸  石川 武次
 我が影にはたと鳴き止む残る虫  香田 忠男
 風何も答へてくれぬ秋彼岸  小長谷敦子
 ひと握り月の芒を持ち来る  小向 青穂
 邯鄲のいづくともなく夜明け前  安福 箭子
 顔ほどの大き綿菓子祭の子  荒井 翠峯
 家の中爽やかなりし妻の居て  井上 康史
 秋刀魚焼く夫の機嫌の嬉しくて  幸保 洋子
 花火果て潮騒きこえ来りけり  篠田 初枝
 はてしなくみちのくの空澄めりけり  畠中 草史
 得し一句口に転ばす獺祭忌  岩崎 悦子
 夕霧の湖より生れし波の音  江田 雅子
 帰投せし艦はや灯す秋の暮  山内 瑞江
 濡れてゐることの仕合せ水中花  北島 美保
 寄す波も引き行く波も秋めける  西村 榮治
 あかがねの鳩飛び立たむ原爆忌  西村 孝彦
     選者吟
 虫の音になんのかかはりなき人ら  保坂 伸秋
     (「栃の芽」誌提供)
 「栃の芽」誌をご希望の方は〈栃の芽会連絡先=仙台防衛施設局総務部・畠中草史氏 電話 022・295・1281内線3100〉へご連絡下さい。

〈訂正とお詫び〉
前号(8/15号)9面の「話題の新刊」で著者の氏名が誤っておりましたので訂正するとともにお詫び致します。正しくは「黒野耐」著です。

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