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   2004年5月15日号
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2空団が1級賞状受賞
緊急発進5,000回、無事故飛行13万時間達成
 航空自衛隊第2航空団(司令・下平幸二空将補)は4月28日、石破茂防衛庁長官から第1級賞状を授与された。
 これは、昭和31年10月創隊以来、対領空侵犯措置として約5千回の緊急発進を記録するなど、防空任務の遂行と部隊の精強化に取り組み、平成3年12月以降13万時間を超える無事故飛行記録を達成したことによるもので、1級賞状受賞は今回で3回目。
 表彰式は同日午後、大臣室で実施され、石破長官が下平司令に賞状と副賞を贈呈したあと、懇談や記念撮影も行われた。
 下平司令は表彰式後、「今回、受賞できたのは諸先輩の努力の結果であり、敬意を表わすとともに伝統の重みを感じています。今後とも、飛行安全を確保しつつ更なる精強化を目指して任務に邁進したい」と受賞の喜びを語っていた。

空自創設50周年 時局講演会を開催 
<入間>
 航空自衛隊創設50周年行事の魁として4月23日、入間基地体育館で、隊友会・入間基地共催の「防衛問題時局講演会」が行われた。講演は、TVなどで活躍している「帝京大学教授・志方俊之氏」を講師に迎え、入間基地近傍に居住する隊友会会員や入間基地隊員ら約?名が聴講した。
志方氏は、「新しい時代を迎えた日本の安全保障」と題し、イラク戦争、日朝問題、米中問題を紹介し、今後の日本は、貢献する日本から責務を果たす日本にならなければならないと講演した。また、講演後、基地隊員クラブで、隊友会会員や基地所属隊員との懇親会が開かれ、空自創設50周年を祝った。

大湊水測会、草刈りなどで清掃奉仕
 大湊地方隊水測会(俗称:大湊水測会、会長・阿部利明曹長、会員147名)は4月18日、大湊地方総監部東門前の大湊宇田児童公園で清掃奉仕作業を実施した。
 この清掃奉仕は平成6年から実施しており、今回で5回目。
 この日は会員有志約20名が春の日差しの中、午前9時から作業を開始し、公園内の草刈り、泥の排除や剪定後の桜の枝拾いなどで心地よい汗をかいた。
 参加した会員からは「来年もまた参加したい」との声もあがり、大いに盛り上がった清掃奉仕作業だった。

<論陣>
中東和平は遠のくばかり…
イスラエル、パレスチナ対立
 世界の人の目がイラクに釘付けになっているいま、中東のイスラエルとパレスチナが"激化"してしまっている。中東和平が破綻寸前なのに気がついている人は少ない。イラクだけでなく、いま一度、イスラエル、パレスチナ問題に注目してみよう。
 パレスチナとイスラエルとの戦いは、1948年から延々と続いている。正に"終りなき戦い"である。第1次世界大戦以降、いまイスラエル国になっている地域すべてはパレスチナ国だった。パレスチナは英国の信託統治下にあったが、独立国だった。大戦中、英国はユダヤ人から多額の戦費を亡国の徒ユダヤ人から借りた。借入時の諸条件の中に「ユダヤ人の国家を建設する」があった。英、米、国連などの仲介もあって"イスラエル国"が現在のところに生まれ、パレスチナ人は、イスラエル国内のヨルダン川の西側やガザ地区などに押し込められ、国家の資格もゼロになってしまった。「再びパレスチナ国家を作ろう」「ユダヤを地球上から消せ」。パレスチナ人は、世界各地でテロ行為を実行するとともに、あらゆる機会をとらえてイスラエルにゲリラ攻撃を展開した。56年間、こうした"戦い"がくりひろげられているのである。その間、パレスチナ解放戦線(PLO)と国連などが話し合い、十数回「停戦合意」が調印されたが、結局、合意は数日間で破られ、戦いは日を増すごとに激しくなっていった。その原因のひとつにイスラム原理主義組織、過激武装集団「ハマス」の存在がある。イスラエルからの解放とイスラム国家パレスチナの独立を目標とする「ハマス」は、1987年、イスラエルの西側のパレスチナ人居住地区ガザで組織された。創設者はアハメド・ヤシン師である。パレスチナ人からの尊敬を集め、統帥力もあったので、同師の命令に従って"自爆テロ"を実行するものも続出した。
 ところが、この最高指導者が、ことし3月22日、イスラエル軍のミサイル攻撃で殺害された。怒ったパレスチナ人は、イスラエル各地でゲリラ攻撃を敢行、双方、多数の死傷者を出した。
 ことがこれで終れば、再び仲介者が現われ一時的にせよ「停戦」ということになったのだが、事件が次の事件、そしてまた次の事件を呼んでしまった。
 ヤシン師が殺害されたため、「ハマス指導部」は、後継者としてランティシ氏を選出した。ランティシ氏はヤシン師に比べると、輪をかけた最強硬派で「抵抗」と「戦闘」が人生と思う人物だった。そのランティシ氏が、4月17日、ヤシン師と同じガザ地区で自動車で移動中、イスラエル軍のヘリコプター攻撃で殺害されてしまったのである。僅かひと月足らずの間に2人の指導者を宿敵イスラエルによって殺害されてしまったパレスチナ人は連日、ガザ地区に結集、抗議集会を開く一方で、イスラエル人に対する"報復"を開始した。
 ガザ地区の中にはイスラエル政府が設定したユダヤ人入植地がある。そこでは多数のユダヤ人(イスラエル国籍)が生活している。たまたま、ユダヤ人母子5人が乗っていた車をパレスチナ人武装勢力(自称・イスラム聖戦)が襲い銃撃、親子5人を殺害した。イスラム聖戦は「ヤシン師とランティシ氏暗殺への報復だ」と宣言。5月4日には、こんどはイスラエル軍のヘリコプターがヨルダン川西側のパレスチナ自治区で車をミサイルで攻撃、パレスチナ解放戦線(PLO)の幹部4人を殺害した。軍では「母子5人が殺害された報復だ」としている。こうして、イスラエルとパレスチナの戦いは続いている。
 戦いを治めたい動きもある。イスラエルのシャロン首相が、ガザ地区からのイスラエル軍の撤退、ユダヤ人入植地の撤去などの案を考え、首相の与党「リクード」(右派)に提案、党員による賛否投票を行なったが、結果、シャロン案は与党の60%が反対に回ってしまった。シャロン首相は次の一手を考え中だが、50年以上、国益と感情が対立してしまっているイスラエルとパレスチナが手を握り合う日が、早々に来るとは思えない。しかし、イラクの行方とともに注目しておく必要があることは間違いない。

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