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   2004年5月1日号
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衛星テレ電話21台を設置
イラク派遣隊員と留守家族が久々の対面
 第1次イラク復興支援群の派遣が開始され約2ケ月が過ぎた4月1日、派遣隊員と家族のコミュニケーションツールとして、留守家族専用の衛星テレビ電話がサマワの宿営地に4台、旭川はじめ各駐屯地などに21台それぞれ設置された。
 利用は1人週10分間で予約制。現地厚生係の調整のうえ日程を決定し、家族はテレビ電話の対応が可能な最寄りの駐屯地に出向き電話会談を行う。
 この日、防衛庁厚生棟の一角に設けられたテレビ電話ブースには埼玉・千葉から2組の家族が訪れ、隊員と久々の対面をはたした。会場では子供たちが父親の姿が映し出されるやいなや一斉に話しかけ、モニターを覗きこんでは手を振ったりと大忙し。真っ黒に日焼した夫のたくましい姿に妻も「顔を見ながら話が出来てとてもよかった。元気そうで安心した」と笑顔がこぼれていた。
 家族との通信は他に、国際携帯電話(1人週1回10分)や3月7日から1人にひとつづつ支給されたEメールなどが利用されている。

職能補導所で49期入所式
技術修得に励む
木工、一般事務、パソコン、建築設計など
<中央病院>
 自衛隊中央病院職能補導所(猪股義夫所長)の第49期生入所式が4月5日、同所講堂で行われた。
 午前10時、開式の辞に続いて全員で国歌を斉唱。引き続き、今期入所生10名が任命されたあと、白濱龍興・中央病院長に対して入所生代表者が、力強く申告した。
 白濱病院長は式辞の中で、「希望を持って努力を継続するよう」また「起居を共にするので仲間意識の育成を」など、要望するとともに「今の思いを大切にし、今後とも頑張って欲しい」と激励した。次いで、来賓を代表して中村範明・内局厚生課長が「これから約1年間にわたって身体運動能力の回復や技術の修得を図っていく中で、関係者一同精一杯応援しますので、すばらしい成果をあげるよう」祝辞を述べた。
 最後に、各方面からの祝電が披露され、式を終えた。
 今期入所生10名は、▽木工▽一般事務▽パソコン・電子▽建築設計の各科を一人ひとりが選択、それぞれの科目を1年間にわたって履修していくことになる。

航空中央音楽隊が定期演奏会を開催
航空中央音楽隊は6月13日、第43回定期演奏会を開催します。会場や応募方法などは次のとおりです。
 〈日時〉6月13日(日)
 〈開場〉13時00分
 〈開演〉14時00分
 〈場所〉すみだトリフォニーホール(JR錦糸町駅徒歩5分)
 〈指揮〉隊長・高木義勝2空佐
 〈曲目〉▽ユーフォニアムと吹奏楽のための「幻想的変奏曲」…(伊藤康英)【独奏】外囿祥一郎1空曹▽ボレロ…(M・ラヴェル)▽交響曲第1番「ギルガメッシュ」…(B・アッペルモント)、他
 〈応募方法〉往復はがきに、ご自分の住所、氏名、年齢を記入の上1枚1名で〒190-8585「航空中央音楽隊定期係」までお申し込み下さい。5月14日必着。応募多数の場合は抽選になります。お問合わせは電話042-524-4131内線292 広報係まで。

陸自1教団創立45周年のお知らせ
 陸上自衛隊第1教育団では5月30日、創立45周年を記念して次のとおり各種行事を開催します。
 〈実施日〉5月30日(日)
 〈内容〉(1)0900〜1500、陸上自衛隊武山駐屯地一般開放
 (2)1000〜1100、記念式典(観閲行進)
 (3)1100〜1200、訓練展示▽落下傘降下訓練▽特別儀仗訓練▽自衛隊の教育訓練▽音楽演奏▽少年工科学校生徒ドリル▽第31普通科連隊振武太鼓
 (4)0900〜1430、戦車等各種装備品展示
 (5)1200〜1430、体験試乗(先着順による戦車・高機動車体験試乗)
 (6)0900〜1430、模擬売店も実施します。
 〈その他〉※なるべく車での入場はご遠慮下さい。※天候等により、実施内容が一部変更する場合があります。

<論陣>
6月末のイラク人への主権移譲
われわれは冷静に見詰めよう
 6月末の主権移譲を目前にして、イラクの人達は荒廃した国家、国土の復興を選ぶのか、戦争への道を選択するのか、その心底が見えなくなってしまった。イラク国民を長い間、圧政と弾圧の下に苦しめてきた独裁者サダム・フセイン政権が米英軍を中核とした連合軍によって倒されたときには、フセインの銅像を引き倒し、肖像画を焼いて狂喜乱舞した。進駐してくる連合軍には国旗を振り、笑顔でこれを迎えた。テレビ映像は連日、こうした映像を繰り返し放映した。世界の人たちは「これでイラクにも自由がきた」と心から思った。
 あれから1年強。イラクは再び戦場と化してしまった。どうしてそうなってしまったのだろうか。旧フセイン政権残党、イスラム原理主義的テロリスト、反米スンニ派などが、復権や主権の主導権(将来の)などを狙って陰に陽に手をとり合って連合軍を攻撃し始めたのが主な原因である。特にバクダットに近いファルージアで4月はじめ展開された戦闘以来、一時的に休戦が行われたが、中旬以降再び激戦となった。それに職を失った若者が民兵組織を作り、参戦している。それでなくても"目には目を、歯には歯を"のイスラム教徒は、激化しやすい。米軍や民間の車両に火を付けて、群衆が燃え盛る車に投石しているテレビの映像などを見ると"大衆の激情心理"がよく分かる。
 戦闘が激しくなるに従って、イラク戦闘集団に新しい戦術が現われた。"人質作戦"である。日本人も捕われた。イタリア人、アメリカ人、ロシア人、中国人、韓国人など、まるで民間人達が見境いなく捕えられ、人質となった。ある者は解放され、ある者は殺害された。地元の子供たちから尊敬されているボランティア女性、フリージャーナリスト、商人、石油会社社員、だれも"武装"しているものはいなかった。なにかの駆け引きや取り引きに使い、連合軍の鉾先を鈍らせるためだろうが、純粋な民間人を人質にするのは許せるものではない。もっとも、この人達も各国政府の渡航自粛要請などを無視してイラク入りをしているふしが強い。あくまで"自己責任"意
識をもっと持つべきだったと思う。
 反連合軍武装勢力も、イラクに派遣されている各国軍隊や自衛隊の派遣目的、任務については"相当"研究しているようだ。例えば米、英、伊、オランダなどイラク国内の治安維持にも当っている軍隊は、武装勢力は、もちろん"民衆の敵"とまで位置付けていると思われる。一方、6百有余人の陸上自衛隊の場合は「自衛隊は戦争しにイラクに来たのではない。彼らは給水、道路、病院、学校の修復、医療活動が任務だ」と、はっきり"味方"として見ている。現に部族長などは「亀のようにサマワ宿営地内に閉じ込らず、仕事を進めてもらいたい」と語っていたという。
 対米強硬派でイスラム教シーア派若手指導者といわれているムクタダ・サドル師(推定年齢30歳)などは、民兵組織「マハディ軍」を率いてバグダット北東部のサドルシティなどで米軍と激戦をくりひろげていたが、4月10日過ぎあたりから、その態度が次第に変化を見せ始め、「連合軍やイラク人暫定評議員との話し合いによる一時停戦、イラク全土の平穏化」を口にするようになってきた。というのは、サドル師は当初、武闘派と見られたが、実は「政治家である可能性が大」なのである。いま国連主導で米英などがバックアップすることを考えている6月末日のイラク人による暫定機構にはシーア派、スンニ派、クルド人、地方族長、女性代表、などから幅広く民衆の声を聞き、これに応える人達によって構成しようとしている。
 この機構が出来ると今年いっぱいを目処に「暫定国民会議」が組織され、予定では来年1月ごろ「暫定政権」=内閣=が選出されることになっている。
 シーア派も、スンニ派も、宗教代表者会議、教育者なども、とにかく6月末月の主権移譲のときに作られる暫定組織に「一人でも多く自派からの委員を送り込み、発言力の強大化を狙う」のが目的である。いまの"激戦"も「イラクから占領軍を追い出す」ことを名目とした"自派の強さ誇示作戦"の一面もある。

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