防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース 防衛ホーム新聞社 防衛ホーム新聞社
   2004年4月1日号
1面 2面 3面 6面 7面 8面 9面 11面 12面

<論陣>
もし、わが国に攻撃が仕掛けられたら
有事関連7法案審議
 戦争体験はいやだ。日本国民のみんなが思い、願っていることである。だが、もし、どこかの国から日本が攻撃されたり、大規模なテロ事件が発生したら、どうすれば国と国民の安全が守られるだろうか。有事のときに国、自治体、国民が協力して"平和と安全"を守る「有事関連7法案」が、このほど閣議で決定し、国会に提出された。昨年成立した有事3法(総論)と、こんどの7法案(各論)が法律として成立すれば、国が外国からの危機に直面したとき"有事法"の発動で、国と国民が一体となった「血の通った国防」が実現することになる。7法案国会審議のニュースは、いま、現にイラクで活躍中の自衛隊員諸君の耳にもとどくはず。どれほど力強いものを感じるか想像できる。
 これまで、わが国の平和と安全は、もっぱら自衛隊にまかされてきた感があった。その裏付けとして防衛、自衛隊関連諸法や有事3法などがあるとされてきた。ところが「周辺事態」「武力攻撃予測事態」「武力攻撃事態」など各種段階で、政府はどうするか、地方自治体はなにをすればいいのか、自衛隊はどう行動するのか、米軍との関運は、国民をどんな方法で保護するのか、海上での敵らしい艦船の検査はどうすればいいのかなどコンディション毎の「基本」については実に抽象的な点が多かった。事実、政府、防衛庁、自衛隊部内でも「いまの形では、あまりにも抽象論が横行し過ぎている。緊急時に直面してケース・バイ・ケースとして考えていては後手後手に回ってしまう」と心配する向きが多かった。そうした心配の炎を消し、有事に国家一丸となって"やるべきこと"を具体化しようというのが、こんどの有事関連7法(案)なのである。まさに胴体、手足の内側に血管を作り、純血を流して"100%の国防効果"を上げるためのものである。総論にしっかりした各論を加えて、「法本来の姿」になろうとしているのである。
 長々、くどくどと説明するのはやめるが、7つの法案の名前と簡単な意味ぐらいは知っておかなければなるまい。まず「国民保護法案」。これは武力攻撃を受けた場合、国民の生命、身体、財産を保護し、国民生活への影響を最小限に留めるため、国や地方公共団体がどんなことをし、国民にどんな協力を求めるかなどをくわしく規定している。これには「警報の発令」「核・生物・化学兵器への対処」「原発の使用停止命令」「住民の避難」「救援医療態勢の確立」「炊き出し」「ボランティア活動」などが分類説明されている。
 「外国軍用品海上輸送規制法案」。これまで海上自衛隊が外国の"あやしい船舶"の航行を停止させ検査することはなかった。平和時では、第一義的に"検査"は、もっぱら海上保安庁の役目とされてきた。しかし、武力攻撃事態になると、そうはいっておれないのが現実となる。そこで海上自衛隊にも"検査任務"が課せられる。停船させ検査した結果、積み荷が大量破壊兵器のときは廃棄させるし、武器、弾薬のときは輸送停止させる。進行停止させるときは接近、追尾、進路前方待機などをくり返し行うが、それでも停止せず、乗組員が抵抗したり、逃亡しようとしたときには「武器の使用」が認められている。このような場合は、最高指揮官である防衛庁長官の海上幕僚長に対する命令がなくてはならない。
 「特定公共施設利用法案」。武力攻撃事態などのときには港湾施設、飛行場、道路、海域、空域、電波などの使用を対策本部長(首相)が制限することができる。公共施設はもちろん"国民"のものだが、特殊な事態のとき、すべて野放しにしては、国内が混乱するばかりである。そこで、一応、対策本部が核となって準平常な形を作り出そうというわけである。
 法案は、このほか、自衛隊が物品、役務を提供する米軍との取決めを明記した「自衛隊法改正案」、「米軍支援措置法案」「捕虜取り扱い法案」「非人道的行為処罰法案」などがある。一部では「国民の自由を奪う」などとの批判もあるが、「国民保護法案」第1章に"憲法の保障する国民の自由と権利を尊重する"と明記してある。

6面へ
(ヘルプ)
Copyright (C) 2001-2008 Boueihome Shinbun Inc