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   2003年9月15日号
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富士総火演 実戦さながらの迫力
一般公開で3万2千人見学
隊員の説明を聞きながら装備品の周りに集まる一般見学者
戦車やヘリコプターが実戦さながらの攻撃を展開した
(東富士演習場で)
初めて総火演で射撃した99式自走155mmりゅう弾砲

疾風迅雷

オートバイで素早く敵陣地を偵察
 平成15年度富士総合火力演習が静岡県御殿場市の東富土演習場で行われ、最終日8月30日には、一般公開を待ちわびた3万2千人の観客が早朝から会場を賑せた。着上陸侵攻を想定した作戦は、2千名の人員、戦闘車輌約60両、各種火砲約70門、航空機約30、その他車輌130両の大規模で行われ、全国の部隊から集まった学生への教育と自衛隊に対する国民の理解を図った。スタンドには長嶋茂雄さんや作曲家のつんくさんの姿も見られ、国民行事としての浸透ぶりが窺えた。今回は歌手・平方紫穂さんに、一日記者として自衛隊に対する感想と期待をまとめてもらった。(編集部)
観客席で総火演を見学する平方紫穂さん(8月30日)
「誇らしく頼もしい自衛隊!!」
 上空より「進入爆撃」の号令。「ゴー・ドカーン」F4ファントムのミリ単位での爆撃、そしてその瞬間の会場の「ウアー」と言うどよめき、歓声の中に開幕した平成15年度富士総合火力演習。イベントアトラクションを見るようなブラボーと歓声を上げる心と、人間としての怖いと言う心の入り混じった瞬間でもありました。開会式典に当たり、音楽隊の演奏の中に私事ではありますが、デビュー初年九州の目達原基地の音楽隊と共演でイベント参加した日が、重なり合い、あの演奏の中でもう一度唄ってみたいと言う思いで今日の演奏に聴き入っていました。九州以来自衛隊との接触も幾たびか試みては参りましたが、まさか身近にお話が頂けるとは、それに総火演一日記者。自衛隊の催し参加としては近所に航空自衛官の方がお住まいで、小学校5年生の時、宮崎県の航空ショーに一度連れて行って頂きヘリコプターに触れてみたり、中に乗せて頂き、そして催し物を見たりして子供心に圧倒されその格好良さに憧れた時期が有りました。それ以来私自身が歴史に興味を持ち、昔の話を聞いたり読んだり、いろんな映像を見たり、その中で、戦車や航空機などの射撃シーンも何度も見てきたつもりでおりましたが、実際目の前で見た物、感じた事とはかなり違っていました。あの90式戦車砲の砲撃の瞬間、爆音と同時に感じる振動、155ミリりゅうだん砲との距離が有るにもかかわらず感じるあの爆風に、思わず叫び声を上げてしまうほどでした。それに攻撃の時に慎重すぎるとも思える、無線のやり取りなどは、意外なものでした。朝早く起きて、向かう車の中、現地に着いて会場のスタンドに座ってからも、みんなで今日これから開催される催しに野次馬的に、話していたことが何と愚かで、ばかげたことかプログラムが進むにつれ恥ずかしく、思い知らされて行くのを感じました。一人一人の隊員が1つの指令に命を賭けて、また指揮所も現場の隊員の1つの命を守るといった中に作戦が、執り行われて、またその命を我々国民を守る、保護する、と言う使命感にさらしているのだと、感じさせられました。そう感じさせられる場面が、今回、空挺自由降下の中に見られました。空挺団の1人の隊員の降下ミスに素早く1人の隊員が追いかけ降下、駆け寄り気遣う姿が目に入りました。1人の隊員の命を気遣う自衛隊員、司令本部の瞬時の判断。大勢の観衆が演習を見守る中で、演習を一時中断して、その様子がつかめるまで静かに耐える司令部の配慮がスタンドで見ていた私だけでなく誰の目にも感動的だったと思います。自衛官の方の真剣に命を賭けておられる姿が伝わった瞬間の出来事に思わず涙目になり、ありがとうという言葉が私自身の胸の中でわき上がった瞬間でも有りました。(この隊員は足首ねんざ、腰部打撲でしたが、1ヵ月ほどで回復できるそうです。=編集部)国を守るその使命感に号令一つ省筋を正す隊員の方々、またそれを気遣う上官、絆はこの一瞬に有るのだなと感じさせられました。あのすさまじい爆音の中、日々鍛錬を積み、国防の任務の中に規律と、世論とに、挟まれ身をさらす隊員の方々、そしてその身を案じる上官の方々の苦悩。ここ数ヶ月、国会中継で見る石破茂国務大臣、防衛庁長官の苦悩の一言一言が思い出されました。やはり長官も、皆様の日頃の訓練を視察しご自分の目で見てこそ、あの様なお言葉が出るのだと思いました。
 私も会場へいってこの目で見るまでは、戦車の砲撃は、格好いい物、戦闘機のロケット砲は格好いい物、機関銃の銃撃は格好いい物、全てが格好いい物でしかなかった。なぜなら自分自身が身を持って参加しない事だからです。毎日毎日あの爆音、振動に身を置いて、国防の名の下に訓練を積んだなら、休みの日がどんなにすばらしい日であるかを実感できると思いました。そして多くの人たちも、平和を願うなら是非とも見ておくべき、催しであると感じました。人生の中で意義のある催しであると思います。これからもこの演習が毎年この富士の裾野で執り行われるように私は願っています。なぜならこの行事が毎年続く以上、平和のあかし、そして見ておくことが自主防衛の根本だからです。そしてこれからも外からの脅威から私たちを守ってください。国際貢献の下においても、何よりも自分自身の身を守る装備を身につけて、行動してください。これからも、自衛隊の派遣が災害復旧や、今回の演習のようなイベント事で、引き継がれて行くことを願います。今回の体験で、我が国の自衛隊の存在が誇らしく頼もしくも思えた一日でした。
 日本の行く先を見たようでうれしく思えました。きびきびとした様は今の私たちに出来る行動ではありません。
 これからもっといろんな行事に参加して、もっと理解しもっと知っておきたいと思う一日でした。
平方紫穂(ひらかた・しほ)さんプロフィール
 平成10年「女の出発(たびだち)」でデビュー。直後に入院。仲間より遅れても今夏から再起をめざしている。1972年生れ。

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