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   2003年7月1日号
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スポーツよもやも話
根岸直樹
"Qちゃん"、新天地で羽ばたく
史上初の女子マラソン連覇目指して
 六月下旬のある日、日本女子マラソン界の切り札、高橋尚子(三一)が宮崎市内でSNA(スカイネットアジア航空)と所属スポンサー契約を交わした。落ち着き先が決まってホッとした表情の高橋。あいにく宮崎は梅雨の真っ最中とあって、門出を祝う日本晴れとはいかなかったが"師匠"小出監督と並んで飛びっ切りの笑顔を見せた高橋を見て、よかった、これで十一月の東京国際は大丈夫、と新記録更新への期待が大きくふくらんできた。
 小出監督を慕って積水化学を退社、佐倉アスリート倶楽部に所属したものの、スポンサーが必要という見方が強かった。SNAは昨年、羽田-宮崎間に就航した新規航空会社だが「心機一転、再出発」の高橋にとっては打ってつけのバックアップ企業ではないか。
 高橋の目標は、04年八月のアテネ五輪での史上初の連覇だ。「目標に向け、無我夢中で突っ走る」と言い続けている。シドニー五輪で初の金メダルをゲットした日から続く数々の難関を乗り越え、高橋はくじけることなく"挑戦"し続けている。とりあえずの目標は、アテネ五輪への出場権をかけた十一月十六日(日)の東京国際女子マラソン。これに勝ってアテネの檜舞台へ。世界の女子マラソン記録は、レースごとに驚異的な伸びを見せている。四月のロンドンではイギリスのP・ラドクリフ(二九)が2時間15分25秒という、男子も顔負けの快記録を打ち立てた。
 高橋の最高記録は01年九月三十日にベルリンで出した2時間19分46秒。4分21秒の差がついてしまった。ラドクリフのいわゆる"トカゲ走法"を越えるため、高橋は六月下旬から米コロラド州ボルダーに飛んで合宿に入った。「しっかりした基礎を作ってきます」と言い残して飛び立っていった高橋。いつになく気合が入っていた。
 小出監督は「(ボルダーで)2時間17分前後で走れる状態に仕上げておかないと(2時間)13〜14分で走れる力を残しているラドクリフには勝てない」と見ている。そのため「トラックでのスピード強化に重点的に取り組む」計画も立てた。
 標高約2,500メートルのロッキー山脈中腹で、急な坂道を駆け上がる練習を積めば、残り7キロの高低差約30メートルの東京国際のコースも、楽々と征服できるはずだ。起伏の激しいシドニーのコースを五輪最高記録で制した自信は、いまも高橋をしっかりと支えている。
 「結果を出して、お世話になっている方々にきっと恩返しを」と胸を張った"Qちゃん"への期待は高まるばかりだ。まずは十一月、東京国際での激走に注目したい。

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(防衛ホーム英語教室)
IT'S BOGUS(イッツ ボウガス)
インチキだね
 Hi!皆さん。お元気ですか。沖縄は梅雨明けしました。すでに、ギラギラとした太陽が輝いております。今年は台風が多いと予想されていますので水不足の心配はないかもしれません。
 先週は、福岡、飯塚に海兵隊と共に出張し、現地では非常にお世話になりました。海兵隊と自衛隊の交流が活発になるお手伝いができればと思っています。
 さて、今回の表現は、“It's bogus"「インチキだね」です。Bogusは「インチキ、偽の」という意味です。これは、イラク戦争の理由ともなった大量破壊兵器ですが、未だにイラクで発見されていません。米国のジャーナリスト達の追求が始まりました。それを米国政府に、“It's bogus"と追求している訳です。簡単で卑俗な言葉で政府を追及するジャーナリストの批判精神がかいま見られますね。普段の会話で相手に言う言葉ではありませんが、覚えておくと便利な言葉です。
 一般的に、嘘をつくこと、卑怯な行為は、どこでもそうですが批判の的になります。特に、「嘘をつくことは精神的なつみである」という宗教観のある欧米人に、「嘘つき」「インチキ」ということは、人格を全面否定することになるので注意です。「嘘も方便」本来の意味でも通じないかもしれません。
 梅雨で、天候も不順になりがちです。紫陽花の花の色と、しっとりとした梅雨の雨の恵みをお楽しみ下さい。
 それでは皆さん。See ya!
 (陸幕防衛部=在沖縄米海兵隊司令部キャンプ・コートニー勤務)〈スワタケル〉

雪月花
 近年、都内の至るところで、建設中の超高層ビルを見かける。この分だと、東京は、いずれニューヨークと並ぶ、摩天楼都市に変貌するかもしれない。
 超高層ビルを見ると、戦後、間もなく上映された、アメリカ映画『摩天楼』ゲリィ・クーパー主演を見て、強い感銘を受けたことを思い出す。
 ストーリーは、純粋に情熱を建築にかける天才肌のクーパーと、営利のみを追う業界を巧みに泳ぐ友人との対比を画く。
 超高層ビル群の発注を受けながら、自信のない友人は、密かにクーパーに設計を依頼、手を加えないことを条件に、協力することになるが、建てられたのは、施工費削減を理由とした低俗なもの。
 クーパーは、これを破壊し、犯罪者として法廷に立つが、このように訴える。−−建築界は、少数のクリエーター(創造者)と、多数のイミテーター(模倣者)から成る。模倣者は多額の報酬を得るが、創造者が得るのは創造物に対する誇りだけだ。今回、その誇りが満たされた以上、これを守るのは、創造者だけが持つ権利だ−−と。
 結果は、クーパーは無罪を勝ち取る。これはアメリカの問題ではない。日本でも"建て売り住宅"を中心に、見た目だけの粗悪住宅が横行する。建築家の良心を呼び戻すためにも、ぜひ再上映してほしい映画だ。 (大町)

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