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   2003年4月15日号
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<論陣>
よってたかって台所を直撃
庶民は泣くに泣けない
 銀行の不良債権処理救済のためのATM(自動支払機)の土曜有料化、両替料の新設、デフレ理由の年金給付の減額、イラク戦争での原油高騰でのガソリン、灯油の値上げなど、不況のシワ寄せが続いている。結論付けると、全部が善意無過失な庶民に押し付けられている。減税もなく、市民の減収につながっているのである。全く腹立たしい限りである。しかし市民は反発することもできず、一方的なやり口にただ黙って従っている。今の世の中、なんとか変えられないものだろうか。
 四大銀行のやり口は、あきれて物が言えないくらいひどい。例えばATMの土曜日手数料が、いままでの無料から105円になった。そして第二弾が両替手数料が出現した。もともと、ATMは、銀行が「窓口だけで預金の受け渡しをすると人件費がかかり、銀行の合理化につながらない」と言って設置した。ところが、銀行員の高額な給与も下げないし、経営がおかしくなっても責任者は、あっけらかんとして経営悪化の責任は一切とろうとしない。そればかりか退職時には庶民が想像できないほどの高額な退職慰労金をちゃっかり手に入れて、豊かな老後を過ごしているのが実情である。
 両替料については語るのも腹が立つ、世間の常識では考えられない仕打ちである。例えば100円玉1枚を全部1円玉に両替すると、両替代はなんと200円とられるのである。こんなバカな話は聞いたことがない。金利についてもそうである。われわれが虎の子10万円を銀行に預金しているとする。普通預金の金利は、いま、0・001%である。これ以上の超低金利である。利息は現行で0.8円である。このお金の中から土曜日に5,000円をATMを利用して引き出すと手数料は105円である。0.8円の利子を元に計算すると、ATM利用の手数料105円を将来、生み出そうとすると130年かかることになる。泣こうとも泣けない状態である。若干、独占禁止法による救いを期待するむきもあるが。
 銀行はなぜ、なりふりかまわず庶民の懐に手を突っ込むような"金むしり"をするのだろうか? 実は銀行はバブル期に不動産業者などに貸し付けたばく大な資金の回収ができず大手行だけで4兆円もの不良債権ができてしまった。小泉内閣は「景気回復のため、各行に対して早急な不良債権の処理」を指示した。そのうえイラク戦争で銀行が所有している株式が大暴落。不良債権の上に、含み損がかぶさって経営は更に悪化してしまった。金融省は「不良債権を早期に処理できない銀行は国有化する」と言明した。2003年3月期から二期連続で利益が3割以上下回った場合や二期連続の赤字に陥った場合などには、その銀行を「国有銀行」にするというのである。これほど金融省が強気なのは、「早急に不良債権は処理します」と口では言っているが、処理が進まない上に、納税者から「過去にばく大な公的資金を受け取っていながら、銀行は努力をしているとは思えない。公的資金とほぼ同額の株式を政府(日銀)に渡しているというが、市民には関係ない。全体を通すと銀行は国民を裏切っていると言うほかはない」との批判が強まっている。
 だからといって銀行自体が合理化もせず、給与の是正もせず、善意な市民に「お金をください」と一方的に押し付けていいはずがない。ATM手数料の土曜有料化、両替料の新設などは即時、やめるべきだし、まだ実施していない銀行は計画を取りやめるべきである。
 問題は銀行だけではない。イラク戦争での原油高を理由にしたガソリン、灯油の便乗値上げも許せない。政府は「170日分の原油の備蓄はあるから心配ない」と、さかんに宣伝しているが、小売りや卸業者は「チャンス」とばかり、実際には値上げは実現している。
 また、日本航空、全日空なども、航空運賃の値上げをする動きを見せている。当面は特別割引き運賃の値上げだが、ことし7月からは一般運賃の値上げを当局に申請している。値上げの理由は「燃料費の、9・11以降、イラク戦争になって旅客数が激減し、収入が大幅に減ったから」と言っている。ところが、こうした大手航空会社は一部でリストラしたりしているが、パイロットの高給などは世の中のサラリーマンに比べると高い。こうしたことの是正が当局の急務であろう。
 年金支給額の引き下げも庶民には痛い。というのは僅かな年金から新設された「介護保険料」も天引きされている。高額な保険料の上に、こんどは年金の引き下げである。生活苦はますます進む。老齢社会は真っ暗である。そして近い将来、イラク戦争の戦費の負担が出てくる。どうなるのか? 不安が増す。

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