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   2002年11月15日号
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ケンジャンハダ(すばらしい)!歓声の場内
9カ国が市中パレードでも競演
空のc-1初めて韓国へ飛行
陸自中音が世界軍楽祭に参加
 世界九カ国(日、韓、米、露、英、仏、モンゴル、ニュージーランド、タイ)の軍楽隊が韓国、江原道原州市に集って二〇〇二年世界ファンファーレが開かれ日本からも陸上自衛隊中央音楽隊(隊長・野中図洋和一佐)の四十人が参加した。海自や空自では航行海地でかなり演奏されているが陸自音楽隊の海外演奏ははじめて。この軍楽祭には今春、ソウルで中谷元・前防衛庁長官らが出席して開かれた日韓防衛首脳会談で招待を受け、その後関係機関で移動、宿舎、国民感情などの検討をつづけていたが特に日本からの移動に空自機を使用することによりいっきに実現したものである。C-1二機により美保基地からソウル空軍基地へ飛んだ一行は、一時間半の飛行で外国とは言えない距離だが、空自始まって以来の自衛隊機による韓国への出動となった。到着したソウル空軍基地には韓国空軍関係者ら多数が出迎え、タラップから出口まで空軍の兵士が並び全員が笑顔で握手を交した。空港到着後は陸軍の大型バス、トラックが提供され、期間中、パトカーで移動の全てが先導、VIPの扱いを受けた。(原州で所谷尚武)

 ソウルから高速バスで一時間四十分のところに江原道原州(クウオンドウオンジュ)市がある。原州市は鳥取市と姉妹都市になっており人口は約23万人、空に向かって開けた感じのする明るい高原の町、大通りに面して中心部に三つの基地があり兵隊の姿が多く目につく。記者が会場への道を聞いたのも彼らで、わざわざバス停まで連れていってくれた。今回の催しに町をあげて取り組んでいることを感じる。
 前夜祭の行われた二十二日は市の中心部の市役所から約二?にわたって四車線の車を閉め出し、九カ国による演奏パレードが十四時にスタートした。
 リバーサイドの特設会場に続く沿道には各国の手旗を持った人たちが声援をあげる。旗々々。日本隊は「凱旋」や「大空」「上を向いて歩こう」などの演奏をつづける。日の丸を振ってくれる子どもには野中隊長も思わず手を振る。隊員たちもこんなに歓迎をうけるとは想像しなかった。熱いものがこみあげたという。
 会場での前夜祭には、キムジニスン江原道知事、キムギヨル原州市市長、韓国第一軍司令官のキムジョンハン大将、田原善信駐在官など各国の駐在武官、そして冷たい川風が吹きつける会場いっぱいに市民。
 オープニング。九カ国による合同演奏でテーマ曲、ウィズピースウィラブが会場いっぱいに鳴り響いた。
 プログラムが進み、フィナーレでは会場の椅子を片づけて広いスペースを作り韓国の民族舞踊や第一軍の演奏と儀仗、韓国の有名な男女の歌手も登場する。花火もあがっている。市民を巻きこんでの前夜祭だった。日本隊は二十三日の開会式、二十四日のリハーサルと待機だったが、その間にも各国のナショナルデーはニカ国ずつでつづけられている。
 二十五日、日・仏デー。
 会場の雉岳(チアク)体育館には昼の部十四時の開演前から観客で満杯、記者席も占拠され、アリーナにまで座りこむ。昼・夜で約一万人。
 オープニング、秒をおかずにクラリネットが静かに流れはじめる。いままでざわついていた場内が静寂になる。野口雄二二曹のアリランだ。意表をついた選曲、演出に場内から一せいに拍手、拍手。客席で見ている第一軍の音楽隊員たちもお互いに顔を見合わせてうなずきあっている。完全に観客の心をつかんだ。お江戸日本橋、さくらさくらとつづく。三嶋良男曹長の和太鼓での八木節にはチヨワチヨワヨ(いいねいいね)の声が聞こえる。小林正雄一曹がトラジを小林久遠二曹の太鼓に合わせて歌い踊る。どよめきのような声援と拍手が最後までやまなかった。小林一曹はニカ月にわたって韓国舞踊家に直接教わったとのこと、観客によると歌も完璧だという。
 また樋口孝博三佐の「上を向いて歩こう」では、立ちあがって一緒に歌おうと韓国語で呼びかけると場内は全員立ちあがっての手拍子、息の合った一体感を憶える。「一生に一度あるかないかの反応だった」(樋口三佐)。いい意味で観客におどらされて相乗効果を発揮していた。
 夜の部ではやはりアンコールがでた。指揮する野中隊長はかねて用意の「木陰の散歩道」を出す。観客の女性から贈られた大きな花束をかかえて、観客や会場に待機する韓国軍楽隊へも手を招いて指揮をふるう。全員参加のフィナーレになった。
 フランスとのコンサートとドリルの交互演奏だったが完全に日本隊が圧倒とみたのは決してひいき目ではなかった。

KBSテレビモーニングショーにも出演

 この模様はカメラ五台、クレーン一基を用いて公共放送のKBSテレビでも収録され後日ダイジェストで放映されるという(朴ディレクター)。
 さらに翌二十六日には朝八時四十分からのモーニングショーで、キャスター三人、アナウンサー一人で野中隊長のインタビューや練習風景、演奏が生放送された。
 日本軍楽隊は同日テレビ出演のあと、日本から来た歩け歩け大会の人たちも参加する市民ウォーキング大会にも応援出演した。原州市郊外の丹漑(タンガイ)農民公園で通過する選手や散歩の市民、観光客の前で約一時間演奏した。ここでもトラジに大拍手、上を向いて歩こうにも大ぜいの拍手がつづき、隊員たちは市民と熱い握手を交していた。
 また同隊は二十七日にはソウル市のロッテワールドでも演奏するなど大忙がしの韓国遠征で、十月二十九日空自美保基地に帰ったが、日韓親善と友好の目的をしっかりとはたした。

朴鐘管(パクジャンガン)・KBSディレクターの話
 過去にはいろいろあったが自分はこだわっていない。さらにこのような行事が日韓の親善を深める糸口になると思う。日本の演奏はすばらしかった。今日のワイドショーのビデオを送りましょう。実費?私の心の間題だから要らない、喜んでプレゼントします。

キンウンシュク女性兵士の話
 日本人は今まで親しみにくかったけど今回のことですこく身近かに感じた、これからは仲良くやっていけると思う。トラジは歌も踊りもうんと練習してきたみたい。ケンジャンハダ(すばらしい)。

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